EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 の「作用」と「アドヒアランス」の重要性について簡単に整理する。
上皮成長因子受容体(EGFR:epidermal growth factor receptor)
おまけ:EGFRチロシンキナーゼ阻害薬の副作用について~ざっくりと~
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チロシンキナーゼ阻害薬と心毒性 について
①EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 の作用について
例えば、肺がんでは上皮成長因子受容体(EGFR)の
過剰な発現が起きている例がある 腫瘍の増殖に成長因子が必要なのだ
上皮成長因子受容体(EGFR)が上皮成長因子と結合
↓
チロシンキナーゼを介して細胞内にシグナルが伝達される
(チロシンキナーゼはATPと結合することで活性化する)
このATPとの結合を阻害しているのがEGFRチロシンキナーゼ阻害薬である
※「競合的」かつ「可逆的」に結合する
※がん細胞(肺がん)においてチロシンキナーゼは活性化している
※変化したタンパク質であるチロシンが細胞内にあるシグナル伝達と結合し
がんが進行していく
②アドヒアランスの重要性について
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤のイマチニブ(グリベック®)のデータより
・72ヶ月間服用した場合
アドヒアランス>90%であれば
MMR率93.7%
アドヒアランス<90%であれば
MMR率13.9%
※分子遺伝学的寛解(MMR)率
BCR-ABL遺伝子が少なくなっている状態
つまり、月でいうと、3-4日飲み忘れてしまうと
上記のデータのように効果に違いが出る・・・
飲まないとほとんど効かないのだ
いかに忘れずに飲むことが大切かを表している
↓
とにかく毎日飲んでもらう重要性を薬局でも伝えるべき
↓
全額自己負担ではないが、薬だけで月に何十万もいってしまう 高額な薬である。
なるべく無駄にしたくない 飲むからには効かせたい!!
そういう服薬指導もありではないだろうか
メーカーに確認すると
ダサチニブ(スプリセル®)に関しても言えるらしい
③EGFRチロシンキナーゼ阻害薬 の主な副作用について
・肺障害
→息切れなどに注意する
・下痢
・肝障害
→ALT、ASTに注意、「食欲不振」「黄疸」「黄疸」など
・皮膚障害
→「ざ瘡」「皮膚乾燥」「爪の炎症」など
参考資料
David Marin , Alexandra Bazeos et al: Adherence Is the Critical Factor for Achieving Molecular Responses in Patients With Chronic Myeloid Leukemia Who Achieve Complete Cytogenetic Responses on Imatinib. Jonal of clinical Oncology
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