NSAIDsとステロイドの浮腫 について整理する。腎臓に作用する場合を考える。
非常にまとまりがない内容になってしまったが、色々な豆知識を載せたので
読んでいただけると嬉しい。
おまけ①:NSAIDsによる蕁麻疹と血管性浮腫の違い
おまけ②:NSAIDs不耐性について
①NSAIDsの場合
浮腫(むくみ)が起こるメカニズム
1つの原因を整理する。
NSAIDsを服用することで
プロスタグランジンの産生抑制される。
↓
腎血管収縮
↓
腎血流量が低下
↓
Na再吸収促進
↓
体内にNa貯留
↓
抗利尿ホルモン作用が増強
腎集合管での水再吸収増加
↓
「浮腫」・「高血圧」が起こる。
※高血圧や心疾患がある人は注意
※腎蔵にはCOX-1のみが発現している。
→COX-2を選択的に阻害する薬剤は浮腫を起こしにくい。
プロスタグランジン(PG)の腎臓での作用
・腎血流量の保持 (微小血管を拡張させている)
・尿細管でのNa再吸収抑制
・抗利尿ホルモンやアンギオテンシンⅡに対する拮抗作用
(アンギオテンシンⅡの血管収縮作用を低下させる。)
・有害な血管収縮や腎虚血を防いでいる 。
補足
・NSAIDsは腎機能を低下させ、血清カリウムを上昇させる。
・降圧剤の効果を減弱させる。
おまけ①
慢性蕁麻疹の患者の20~35%は、非ステロイド性抗炎症薬で悪化するとされている。
全く症状がない人でも「蕁麻疹」「血管性浮腫」とも起こりうる。
副作用発現までの時間
数分から半日以内に全身の「蕁麻疹」もしくは、「血管性浮腫」が生じる。
蕁麻疹→通常、24時間から48時間で消失することが多い。
血管浮腫→数日持続することがある。
血管性浮腫は、「唇」と「まぶた」に生じやすく、蕁麻疹より遅れて起こる。
機序
アレルギーの機序とは違うところは?
プロスタグランジン合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで
生じるところに違いがある。
小児では少なく、成人に多い。
後天的過敏体質(突然起こりうる)
※貼付剤や点眼でも生じることがある。
※製剤による違い
坐薬や注射→「30分」以内ぐらい
内服→「1-2時間」以内ぐらい
貼付剤→「数時間から半日後」にも起こりうる。
※COX-1阻害を有するものは注意
症状
・初期症状
「顔」、「くび」、「手足の蕁麻疹」、「唇」、「まぶた」、「顔の浮腫」
・重篤(ひどいとき)
「首が苦しい」、「咳」、「息苦しい」、「腹痛」、「嘔吐」
気道の症状がひどい場合→「アスピリン喘息」を疑う。
基礎疾患として「気管支喘息」がある方は注意
※成人発症の喘息患者の10%以上がNSAIDsに過敏反応を示し、
発作入院や救急受診をくりかえす重症患者では30%以上に認める。
※なぜ?
アスピリンによるCOX阻害→ロイコトリエンの産生増える→気管支収縮
おまけ②:NSAIDs不耐症とは?
COX阻害→PGE2減少→過敏症が発生する変質体質
※インドメタシン、アスピリンなど
※アセトアミノフェンはCOX阻害作用がないが500mg以上で誘発する場合がある。300mg以下の小児量では安全。
②ステロイドの場合
浮腫(むくみ)が起こるメカニズム
「ヒドロコルチゾン」や「プレドニゾロン」は、
ミネラルコルチコイド作用を有する。
↓
腎臓でのナトリウム再吸収促進
↓
浮腫を引き起こす。
他にも
・ホスホリパーゼ活性低下によるプロスタグランジン(PG)産生抑制
・抗利尿ホルモン作用増強なども有している。
補足
PGは抗利尿ホルモンに拮抗して集合管での水分の再吸収を抑制している。
※生薬成分である甘草やグリチルリチン酸も同じ作用があるので注意が必要である。