ビラスチン(ビラノア®)の特徴をまとめてみる
おまけ:眠気が少ない抗アレルギー薬の理由
①眠気が少ない理由
大脳皮質のヒスタミンH1受容体占拠が認められない
↓
脳内移行性が少ないので眠気が少ない
↓
自動車運転等の注意喚起の記載がない!
これは、大切な情報である。
個人的意見
最近、服薬指導・薬歴の件で「運転の有無」「飲酒の有無」だけでなく、
「どれくらい運転するのか?」「仕事として運転しているのか?」
「毎晩飲んでいるのか?」「どれくらいの量飲んでいるのか?」などの
具体的な情報を元にした個々人に対する指導が大切と言われている。
やはり、仕事柄運転をする人に「眠気」の多い抗アレルギー剤を出すのは、
個人的にどうかと思う。とりあえず患者の意向を聞いて、
疑義照会を行うべきだろう。
「そんな当たり前のことを・・・」と言われるかもしれませんが、
「トラック運転手」とか「タクシー運転手」とか薬歴に書いているだろうか。
さらに言えば、昼夜逆転の生活をしている可能性だってある。
細かい情報を薬歴に記載するべきである。
おまけ:眠気が少ない抗アレルギー薬の理由
ポイント:
「P糖タンパク質の基質であるため、血液脳関門を通過して脳内に入りづらい」
「H1受容体占拠率が20%以下の抗アレルギー薬は非鎮静性に分類されている」
詳細:
P糖タンパク質の基質であるため、薬が、血液脳関門の毛細血管内皮細胞に発現しているP糖タンパク質により脳内に入らないように 排泄されてしまう。
↓
脳内の薬物濃度が上がらず眠気の副作用が少ない(脳内移行性が少ない)
※大脳皮質のヒスタミンH1受容体占拠が低い。
※注意すべきは、P糖タンパク質に個人差があること
例:非鎮静性でも添付文書上に差がある。
運転注意喚起の記載が添付文書にないもの
→ビラスチン(ビラノア®)、ロラタジン(クラリチン®)、
フェキソフェナジン(アレグラ®)
運転注意喚起あり
→エピナスチン(アレジオン®)やオロパタジン(アレロック®)など
②食事の影響について
基本的に「空腹時」に服用する必要がある。
「食後」に服用することでAUCが40%、Cmaxが60%に低下する。
↓
だいたい半分効果が減弱するので「空腹時」に服用するべき
↓
持田製薬としては、
「食事の1時間前」、「食後2時間」、「寝る前」を推奨しているとのこと
相互作用(食べ物)について
グレープフルーツジュースと一緒に服用すると効き目が6~7割減弱する。
↓
吸収量が低下するため・・・
(原因は不明、P糖タンパク質が関係してると言われている?)
※CYPではないらしい
かなり減弱するので避けるべきだろう
③その他の特徴
・Tmaxまでの時間は1時間であり効果発現が早い。
(レボセチリジンであるザイザル®と同等)
・半減期10.54時間であり長く効く。
・1日1回の内服で効果がある。
・ 薬物代謝をほとんど受けず、CYPの阻害や誘導がない
・ 排泄→未変化体のまま尿中33%、糞中67%排泄
・小児に適応はない。
・鼻症状には服用して45分ほどから効果がある 。
参考資料
持田製薬勉強会資料、問い合わせ
ビラノア®添付文書、インタービューフォーム
鹿児島医報平成28年 第55巻第7号参考資料