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皮膚科

アポハイドローション(オキシブチニン)の特徴について

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アポハイドローション(オキシブチニン)の特徴について 簡単にまとめる。
成分であるオキシブチニンは、別の適応症に使うネオキシテープと同じものである。
成分は同じであるが、濃度や製剤的な違いから別の病気に使われる例の1つとなる。
日本で初めて「原発性手掌多汗症」に対して保険適用が認められた外用薬である。

アポハイドローション(オキシブチニン)の特徴

寝る前に1日1回でOK!塗ったとの注意点を忘れない事が大切!

効能・効果

「原発性手掌多汗症」

※国内に推計で約493.1万人いるとされている。有病率5.33%
※あくまでも「手」のみ。足の裏や脇は適応外。

【原発性手掌多汗症とは?】
「原発性」ということなので・・・
特に何かの病気などの明らかな原因がないにもかからず、手のひらに
「日常生活に支障をきたすほど」の多量の汗が出てしまう状態のこと

用法・用量

「1日1回、就寝前に適量を両手掌全体に塗布する。」

※毎日塗ることで安定した効果が出る
※あくまでも対症療法となる

※新品の場合、ティッシュペーパーなどに3.4回ポンプを空打ちする
※塗る前に手のひらの水分などをよく拭くこと
※1回の塗布量は、両手掌に対しポンプ5押し分を目安とすること
→手のひらの大きさで用量変わる

アポハイドローション塗布後の注意点

○目や口を触らない事。触った場合、すぐに水で洗う。
○顔や髪の毛などに触れない
○歯磨き、シャワー、コンタクトレンズの扱いなどは避ける
○薬を塗ったまま寝るが、薬が渇くまでは寝具などに触れないようにすること
○起床後まで手を洗わないようにすること
○起床後は、手を流水で洗い、手を洗った後、薬を塗る必要はない
○塗った後は、気密性の高いゴムやシリコンなどの手袋で覆わないようにすること

作用機序・薬理作用

エクリン汗腺に発現するムスカリンM3受容体に結合する



アセチルコリンの作用を抑える
(抗コリン作用を示す)



抑汗作用を示す

※オキシブチニンは、ムスカリン受容体の中でM3とM4に親和性を持っている

【服薬指導などでの説明の例】
手のひらの皮膚から吸収され、
皮膚の下にある交換神経から出される発汗を促す物質をブロックすることで過剰な発汗を抑える薬

禁忌

一応、添付文書の禁忌を載せておく。

「○閉塞隅角緑内障の患者
 ○下部尿路閉塞疾患
 ○重篤な心疾患のある患者
 ○腸閉塞又は麻痺性イレウスのある患者
 ○重症筋無力症の患者
 ○本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」

※ちなみに、12歳未満は適応外となる。
各審査状況などを確認してもらいたいが、審査は通らない県もある。熊本は×

副作用

副作用としては、ローションということもあり皮膚症状が主である。

「主な副作用(1~5%未満)として、適用部位皮膚炎、適用部位そう痒感、適用部位湿疹、皮脂欠乏症、口渇が報告されている。」
(「Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目」の項参照)

その他の注意点・特徴

○自動車の運転などには念のため注意すること
○高温下での作業や激しい運動、夏場の体温上昇に注意が必要
→発汗を抑えるため、外の気温が上昇した際に体温が上がる恐れがある
○足、脇は適応外となる

【参考資料】
Fujimoto T,et al.:J Dermatol 2013; 40(11):886-890.
アポハイドローション、添付文書、インタビューフォーム