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泌尿器関連

過活動膀胱治療薬~ムスカリン受容体と抗コリン薬の特徴と注意点~

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過活動膀胱治療薬 におけるムスカリン受容体と抗コリン薬の特徴と注意点にざっくりまとめてみた(ちょこちょこ追加情報を載せようと思う) 。非常に頻尿に悩む高齢者も多く処方量は多い。ただし、検索ワードとしてはまだまだ少ない?そんなテーマを取り上げていく。

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ムスカリン受容体 の種類と抗コリン薬の基礎知識

①過活動膀胱 について

急に起こる我慢出来ないような強い尿意(尿意切迫感)を主な症状とする症候群
「頻尿」「夜間頻尿」「切迫性尿失禁」もある。
定義上は、「切迫性尿失禁」の有無は問わない

「過活動膀胱」の症状のイメージは、
「急に我慢できないような尿意が起こる」
「トイレが近い」
「我慢できず尿が漏れてしまう」など
女性に多いが、「40歳以上の男女の8人に1人」に
この症状をもっていると言われている。

過活動膀胱では、尿が膀胱の中にいっぱいになる前に(少ない尿量)、
膀胱が過剰に収縮し、我慢できずに尿が漏れてしまう。
これを「切迫性尿失禁」という。 

②膀胱と受容体

ムスカリン受容体について、
膀胱平滑筋にはM2とM3が主に存在しており、
特にM3が関係している。
また、膀胱副交感神経のアセチルコリンの遊離にはM1が関与している

③過活動膀胱治療薬 (抗コリン薬)

飲み始めて1週間から1ヶ月程度で効果が出始める。
抗コリン薬は、第一選択薬であり、ガイドラインにおいて推奨度Aである。
副作用として、「口渇」「便秘」「認知機能の低下」に注意する。
特に、高齢者が多いため上記の副作用はチェックする必要がある。

M3受容体への選択性が高い過活動膀胱治療薬

イミダフェナシン(ウリトス®、ステーブラ®)
ソリフェナシン(ベシケア®)
プロピベリン(バップフォー®)

※ベシケア®とバップフォー®はQT延長注意
M2受容体(心臓)への作用もあるため

服薬指導のときに、ベシケア®とバップフォー®を服用している患者に対して
「胸の調子がどうか」、「ドキドキしてないか」
聞いて副作用チェックしてはどうだろうか

※粉砕可否
ベシケア®粉砕不可→OD錠がある
ウリトス®、ステーブラ®粉砕可能
バップフォー®粉砕可能、苦味注意

受容体への選択性が少ない過活動膀胱治療薬

トルテロジン(デトルシトール®)
フェソテロジン(トビエース®)
※トビエース®はデトルシトール®の活性代謝物のプロドラッグである。

※デトルシトール®とトビエース®は、膀胱への移行性が高く
認知機能への影響が少ない。

※トビエース®の一包化について(ベーリンガー製品Q&Aより)

「一包化について推奨はしておりませんが、一包化される場合は無包装状態での安定性データを参考に高温多湿は避けていただくようお願いいたします(特に湿度に注意してください)。」

25℃、 75%R.H. (暗所) →1ヶ月後規格内
50℃ (暗所) →1ヶ月後規格内

※トビエース®は徐放錠のため粉砕不可

参考資料
過活動膀胱診療ガイドライン 改訂ダイジェスト版 2008,
日本排尿機能学会,他 編

ベーリンガー製品Q&Aより
過活動膀胱診療ガイドライン2005
アステラス勉強会資料
錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック 第6版