ムスカリン受容体 の種類と抗コリン薬の基礎知識についてざっくりと整理する。
自分自身が忘れやすい項目なのでまとめてみる。
ポイントは:薬を考える上で大切なムスカリン受容体は、「M1」、「M2」、「M3」であり、まずはその3つを理解すると良い
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過活動膀胱治療薬におけるムスカリン受容体と抗コリン薬の特徴と注意点
①ムスカリン受容体 の分布
M1分布→「脳」、「腺」、「交感神経」、「胃壁細胞」
M2分布→「心臓」、「平滑筋」、「脳」
M3分布→「平滑筋」、「腺」、「脳」
M4分布→「脳」
M5分布→「脳」、「眼」
②抗コリン薬と副作用
抗コリン薬の作用
過活動膀胱の治療薬を例にすると
膀胱収縮時
↓
副交感神経の活性化によりアセチルコリンが遊離
↓
このアセチルコリンが膀胱平滑筋のムスカリン受容体と結合
↓
排尿筋が収縮する
抗コリン薬は、アセチルコリンがムスカリン受容体に結合するのを阻害することで
効果を示す。
副作用(抗コリン作用を有する薬剤で注意)
・「口渇」
M1やM3が腺からの唾液分泌に関与している
・「排尿困難」
排尿の機能を簡単に言うと、「蓄尿」と「排出」である。
「蓄尿」 →尿をためる→膀胱排尿筋の「弛緩」
「排泄」→尿道括約筋の「収縮」→尿を出す→膀胱排尿筋の「収縮」
※抗コリン作用により 「膀胱排尿筋の収縮を抑制する」ため
→排出がされにくく「排尿困難」になる。
・「便秘」
平滑筋の収縮を抑制するため便秘になる。
・「頻脈」
心臓のM2の陰性変時作用を抑制する
→ドキドキ(動悸)が起こる
・「記憶障害」「認知障害」
高齢化が進む中、特に大切である。
ムスカリン受容体はどのサブタイプも「脳」にあり記憶に影響してしまう。
・「霧視」「視覚障害」
眼にムスカリン受容体があるため見えにくくなることがある.
服薬指導の際に「視力が急に落ちたと感じたことありますか?」とか
「見えにくいがありますか?」など聞いてはどうだろうか
抗コリン作用のある薬が出ている場合、上記の副作用のチェックは必要である。
「口渇」「認知機能の低下」が出ていなかなど確認し
「薬歴」に記載することは大切である。
薬剤師の視点から減量・中止につなげたい・・・
補足
抗コリン作用と認知機能のデータ
65歳以上の6912例を対象に4年間追跡
抗コリン薬使用者では、「認知症」が有意に多い
(hazard risk: 1.65, )
Carriere et al . Arch Intem Med 2009 ; 169:1317-1324
参考資料
アステラス勉強会、問い合わせ
Carriere et al . Arch Intem Med 2009 ; 169:1317-1324