スルピリド (ドグマチール®)の特徴と注意点について触れる。
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①使われ方
用法用量
胃・十二指腸潰瘍
「スルピリドとして、通常成人1日150mgを3回に分 割経口投与する。
なお症状により適宜増減する。」
統合失調症
「スルピリドとして、通常成人1日300~600mgを分割 経口投与する。なお年齢、症状により適宜増減する が、1日1200mgまで増量することができる。」
うつ病・うつ状態
「スルピリドとして、通常成人1日150~300mgを分割 経口投与する。
なお年齢、症状により適宜増減する が、1日600mgまで増量することができる。」
※うつに対しては用法用量の量より少ない量で目にすることが
個人的には多い。
特徴
高用量では統合失調症
低用量ではうつ病、胃・十二指腸潰瘍に適応持つ
胃腸に対しては、視床下部に作用し交感神経を興奮させ血管攣縮を抑制する。
その結果、胃粘膜の血流改善と防御因子の増加が知られている。
また、ドパミン受容体遮断作用を有するためメンタルに対しても効果がある
※抑うつ気分と、それに伴う食欲低下に用いられる
※SSRIでの生じる消化器障害を軽減する目的で併用したりする
※メンタルへの単独使用は以前より使用頻度は減っているが目にする機会は多い
②注意点
高プロラクチン血症
高プロラクチン血症を引き起こしやすいことがある。
高用量では特に注意だが、低用量でも生じる。
「乳房の張り」や「痛み」を訴える。
乳頭の痛みは中止後も回復するまで時間がかかる場合があり、
1ヶ月かかる例もある。
妊娠していないのに「乳汁漏出」したり、「無月経」となったりする
男性でも起こるので注意
錐体外路障害
ドパミン受容体の遮断により、薬剤性パーキソニズムが生じる。
動作(ふるえ、口のモゴモゴ、滑舌が悪い)、姿勢(首振り)、
歩行異常 ・意欲低下などの症状注意
「薬物の使用開始」や「増量」をきっかけで起こることが多い。
高齢者で起きやすい。
※服薬指導時
待っている間、首が揺れていないか
お金を取り出す際に、必要以上に手が震えていないか
個人的には確認するようにしている。
薬剤性パーキンソニズムなどを惹起させることが報告されている医薬品の例
メトクロプラミド(プリンペラン®)、
ドンペリドン(ナウゼリン®)
トリメブチン(セレキノン®)
イトプリド(ガナトン®)
ジルチアゼム(ヘルベッサー®)
アムロジピン(ノルバスク®)
チアプリド(グラマリール®)
アミオダロン(アンカロン®)
ベラパミル(ワソラン®)
プロピベリン(バップフォー®)
など
※高齢者で起きやすい
※併用注意の項目をおさらい
メトクロプラミド(プリンペラン®)、チアプリド(グラマリール®)について
「内分泌機能異常、錐体外路症状が発 現しやすくなる。」
「本剤及びこれらの薬剤は抗ドパミン作用を有するため、
併用により抗ドパミン作用が強くあらわれる」
※
メトクロプラミドで起きた場合、脳内移行性が低いドンペリドンに変更するのも手段
補足
食欲増進作用
過食・体重増加することがある
若い女性などは気にするので注意すること
下記が錐体外路障害の関連記事
https://mibyou-pharmacist.com/2019/05/22/錐体外路障害について考える~ざっくりイメージ/
参考資料
ドグマチール®インタビューフォーム、添付文書
薬物と神経筋障害:診断と治療の進歩澤田康文 日内会誌96:1570~1579,2007