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精神科 高齢者

チアプリド (グラマリール®)の特徴について

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チアプリド (グラマリール®)の特徴についてざっくりと整理する。

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チアプリド (グラマリール®)の特徴

スルピリドから新しい抗精神病作用を有するbenzamide誘導体をもつチアプリド塩酸塩(グラマリール®)が開発された経緯がある。

効能・効果

「脳梗塞後遺症に伴う攻撃的行為、精神興奮、徘徊、せん妄の改善
特発性ジスキネジア及びパーキンソニズムに伴うジスキネジア」

※投与期間の注意点
「脳梗塞後遺症の場合:本剤の投与期間は、臨床効果及び副作用の程度を考慮しながら慎重に決定するが、投与6週で効果が認められない場合には投与を中止すること」

つまり、効果が出ているか確認する必要がある。

薬理作用

脳内のドパミン受容体に作用する。
ドパミンD2受容体遮断薬である。
相対的には、5-HT2A受容体遮断作用よりドパミンD2受容体遮断作用が強い。
しかし、ドパミンD2受容体遮断作用は抗精神病薬の中では弱いので錐体外路障害は少ない。

よくある副作用(再審査結果より)

一番多いのは、眠気、めまい、ふらつき、口渇などである。
眠気を副作用と捉えるかは使う病態によって変わるので
患者にあったフォローをした方がよい。

「総症例 6,485 例中副作用は 506 例(7.80%)に認められた。
主な副作用は,眠気 111 例(1.71%),めまい・ふらつき 87 例(1.34%),口渇 38 例(0.59%),不眠 29例(0.45%),振戦 27 例(0.42%),パーキンソン症候群 25 例(0.39%),流涎 23 例(0.35%)等であった。」

「重大な副作用として悪性症候群(Syndrome malin),昏睡,痙攣,QT 延長,心室頻拍が報告されている。」

重要な基本的注意

「眠気、めまい・ふらつき等があらわれることがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること。」

「制吐作用を有するため、他の薬剤に基づく中毒、腸閉塞、脳腫瘍等による嘔吐症状を不顕性化することがあるので注意すること。」

※高齢者は特に運転に注意する必要がある

どれくらいで効果が出るの?

インタビューフォームには以下の事が書かれている。

「特発性ジスキネジア及びパーキンソニズムに伴うジスキネジアに対しては,プラセボとの二重盲検比較試験において,投与後 1 週には有効性が認められた 。
脳梗塞後遺症に伴う攻撃性行為,精神興奮,徘徊,せん妄に対しては,投与 3 日後より有意に改善を示した報告がある。」

※効果が出るのに数日はかかるので説明しておくべきだろう

高齢者への投与

高齢者には、副作用に注意して低用量から使用したほうがよい。

添付文書の記載
「本剤は,主として腎臓から排泄されるが,高齢者では腎機能が低下していることが多く,高い血中濃度が持続するおそれがあるので,副作用(錐体外路症状等)の発現に注意し,低用量(例えば 1 回 25mg1 日 1~2 回)から投与を開始するなど慎重に投与すること」

その他の特徴

・半減期が短く高齢者に使いやすい
・不眠の人で睡眠薬で眠れない場合、せん妄が原因の事がある。
せん妄が原因で眠れない人はチアプリドが効果的なことがあるので試す価値はあるだろう。

・統合失調症の治療薬であるハロペリドールなどで錐体外路障害が起こってしまう場合は、チアプリドに切り替えたりする。

・夜間のせん妄に使いやすい。他には、スルピリドも使われる。

参考資料
グラマリール®添付文書、インタビューフォーム