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糖尿病・糖尿病治療薬 薬物動態・相互作用

糖輸送担体~ GLUTとSGLTの違いについて~

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GLUTとSGLTの違いについて簡単にまとめる

①GLUT(glucose transporter)

・細胞内外のグルコース濃度差に基づく促進拡散輸送を担う
・受動輸送
・筋肉や脂肪組織の細胞内へのグルコース輸送
・有名なものはGLUT4
インスリンの作用により、 速やかに細胞質の貯蔵所から細胞膜への
GLUT4の輸送を増加させる。
また、その後GLUT4の生成を増加させる。
グルコース代謝において、この作用が律速的である

補足

2型糖尿病患者において、インスリンの作用障害(抵抗性や分泌不全)が
高血糖の主要な因子である。
ほとんどの方が肥満で、ケトン体生成の増大を呈することはないため
インスリン抵抗性は脂肪組織においてよりも筋肉で大きいと考えられている 。

 ※その他 GLUT5はフルクトース輸送体

②SGLT(sodium glucose cotransporter)

Na+とグルコースを同時に輸送する共役型トランスポーター

細胞内と比べて細胞外のNa+濃度が高いことを利用して
細胞外からNa+とグルコースを同時に取り込む

細胞内に流入したNa+はATPを使って細胞外に排出される

・二次的能動輸送
・現在SGLTのサブタイプは6つ同定されている。
注目されているのは、SGLT1とSGLT2の2つである。

存在部位

SGLT1→主に小腸の腸管上皮、
その他腎臓の近位尿細管(遠位部)などに存在している。
2分子のNa+と共役してグルコースを輸送している。

SGLT2→腎臓の近位尿細管(近位部)に存在している。
1分子のNa+と共役してグルコース輸送

・腎臓において (糸球体を濾過された原尿中のグルコース再吸収)

近位尿細管の中で、「近位部」なのか「遠位部」なのかの違いに注目

近位部(SGLT2)

近位部→SGLT2→ブドウ糖の再吸収量90%
(発現量はSGLT1より多く、ブドウ糖の親和性は低い。
ある程度ブドウ糖が高くなると働く) 

※ 再吸収量が多いため、新しいタイプの糖尿病治療薬の作用部位となっている。
2型糖尿病患者においてSGLT-2の発現量が上がる (mRNA↑、蛋白量↑)

2型糖尿病患者では、腎臓でのグルコースの糖の取り込みが増えている。

遠位部(SGLT1)

遠位部→SGLT1→ブドウ糖の再吸収量10%
心臓や様々な部分に存在するため、SGLT1阻害剤は副作用も多くなってしまう。
そのため、糖尿病治療薬としてはSGLT2阻害剤が発売されている。

参考資料 バーン/レヴィカラー基本生理学p439-p440
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