「食前」の服用を守ることが大切である。
①効能効果
・便秘型過敏性腸症候群
・慢性便秘(2018.8より)
(器質的疾患による便秘を除く)
※過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)
「器質的疾患を伴わず、腹痛・腹部 不快感と便通異常を主体とし、それら消化器症状が長期間持続もしくは再発・改善を繰り返す機能性消化管疾患」
→「腹痛」や「腹部不快感」があれば診断できる可能性があるらしい
(メーカー曰く)
※慢性便秘の場合は、一度酸化マグネシウムなどを使用し、効果がないときにリナクロチドなどを用いることが大切。
※IBSの場合は、第一選択薬として使っても問題ない
②用法用量
「通常、成人にはリナクロチドとして 0.5mg を 1 日 1 回、食前に経口投与する。 なお、症状により0.25mg に減量する。」
使用上の注意(添付文書)
「重度の下痢があらわれるおそれがあるので、症状の経過を十分に観察し、本剤を漫然と投与しないよう、 定期的に本剤の投与継続の必要性を検討すること」
→漫然と投与しないように
※細かい話をすると、初回は2錠で試して・・・効きすぎたりあれば
1錠に減らすのが添付文書上は正しい。
最初から1錠とは書いていないので注意
③作用機序
グアニル酸シクラーゼ C(GC-C)受容体作動薬
↓
リナクロチドは腸管の管腔表面に存在するGC-C 受容体を活性化
↓
腸管内への水分分泌を促進
↓
排便を促す
※さらに、大腸の痛覚過敏を改善することで
「腹痛」、「腹部不快感」に効果が期待できる。
→求心性神経の痛覚過敏を改善する効果がある
④食前の理由について
食後に服用すると食事による腸管への水分分泌が加わり
便秘に対する作用が増加してしまう。
→イメージとしては、効果が増強されるため「下痢」の頻度が増える
インタビューフォームより
「リナクロチドを食後に投与すると、食前投与した時に比べて、反復投与による薬力学的な変化(便形状スコ ア、排便頻度及びいきみの重症度スコアの変化)が大きく、下痢(軟便を含む)の発現率が高いことが示されているため、食前に投与する。」
※リナクロチドの「寝る前服用」「頓服・頓用」「2日に1回服用」は、あくまでも適応外になるので疑義照会はやっておくこと
副作用について下痢の頻度
大体10%前後の頻度で下痢が生じる。
重度の下痢にも注意が必要である。
そのため「食前」を守ることが大切である。
「便秘型過敏性腸症候群 承認時までの国内臨床試験で IBS-C 患者を対象に安全性を評価した総症例数 855 例中、臨床検査値異 常を含む副作用発現症例は 184 例(21.5%)であり、主な副作用は下痢 111 例(13.0%)であった。」
「承認時までの国内臨床試験で慢性便秘症(器質的疾患による便秘を除く)患者を対象に安全性を評価し た総症例数 478 例中、臨床検査値異常を含む副作用発現症例は 66 例(13.8%)であり、主な副作用は下 痢 44 例(9.2%)であった。 」
⑤その他の特徴
・ほぼ体内に吸収されない
・耐性はない
・アミティーザ®との併用は避ける
基本は単剤だが、アミティーザ®以外であれば併用問題ない
→下痢注意
・湿気に弱く、一包化不可、粉砕不可
※25℃以上で75%RH以上の条件下では、24時間以内に類縁物質の値が規格値を逸脱することが確認されている
・簡易懸濁法→通過試験は出来ているとのこと
(溶かすことは可能)
安定性試験などは行っていないので施設ごとに検討する必要がある
疑義照会は必要と思われる
参考資料
リンゼス®添付文書、インタビューフォーム
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