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ラスビック (ラスクフロキサシン)の特徴~他のキノロン系との違い~

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ラスビック (ラスクフロキサシン)の特徴と他のキノロン系との違いについてまとめる。
作用機序、適応症・適応菌種、用法用量、肺への移行性が高い理由、一包化・粉砕可否について。

①ラスビック の作用機序(他のキノロン系との違いも)

DNAジャイレースとトポイソメレースⅣの双方を同程度阻害することが出来る。
デュアルインヒビターなんて呼ばれている。
他のキノロン系薬剤はどちらかに作用するものが多く、効きにくくなりやすい(耐性化しやすいと考えられている)
ラスビックは、その辺が改善というか工夫されている。

②適応症

「咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、 急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、中耳炎、 副鼻腔炎 」

適応症が同じキノロン系は?

呼吸器と耳鼻咽喉科感染症にのみ適応がある。
適応症は、 メシル酸ガレノキサシン水和物錠(ジェニナック®)と同じ。

適応菌種の特徴

嫌気性菌に効果があり、
特徴としては、「プレボテラ属」にも効果がある。

→誤嚥性肺炎の原因菌として知られている

③用法用量

「 通常、成人には、ラスクフロキサシンとして1回75mgを1日1回経口投与する。 」

※大きさがレボフロキサシンなどと比較すると小さく
1回1錠なので高齢者への負担も少ない。

※肝代謝の薬剤→腎機能による用量調節不要

※食事の影響はない

※小児に禁忌
シプロフロキサシン(シバスタン®)は炭疽菌に対しては小児に使用される。
ノルフロキサシン(バクシダール®)、トスフロキサシン(オゼックス®)は、
関節毒性が少ないので小児に適応がある。

④肺への移行性が高い理由

肺胞上皮被膜液(Epithelial Lining Fluid)はリン脂質を多く含む。
他の組織と比較するとホスファチジルセリンの占める割合が高い。
他のキノロン系の薬剤よりラスビック®はホスファチジルセリンと結合しやすいため肺への移行性が高くなっている。

肺への移行性が高いため75mgと低用量で使うことが出来る。
メーカーの話ではレボフロキサシンより20倍くらい肺への移行性が高いとのこと
(レボフロキサシンは、250mgや500mgを使用した場合と比較)

⑤その他の理由

・アジアにおいてマクロライド耐性のマイコプラズマ肺炎が増加しているため
開発された経緯がある。

•一包化OK
無包装、1か月OK

・粉砕
問題ないだろうとのこと、光安定性、3か月OK
苦味に注意する必要がある。

•簡易懸濁法OK
12Frまで通過できる。

•意識障害の報告今のところない(2020年1月現在)

・注射剤が発売となるが、適応は呼吸器範囲だけである。耳鼻科の適応はない。
(2020年)

関連動画

簡易懸濁法について

簡易懸濁法での溶解の様子

参考資料
Fukuda H, et al., Antimicrob. Agents Chemother. 45:1649-1653(2001)
ラスビック®添付文書、インタビューフォーム
シバスタン®添付文書
バクシダール®添付文書
オゼックス®添付文書