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疥癬とイベルメクチン(ストロメクトール®)の作用機序(空腹時の理由)について

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疥癬とイベルメクチン(ストロメクトール®)の作用機序(空腹時の理由)について

疥癬の特徴、ストロメクトール®の空腹時の理由、2回服用する理由、安全性が高い理由について解説

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①疥癬のちょこっとまとめ

実は、皮膚症状では診断が困難な疾患。疥癬のメインはメスである。
通常、皮膚のダニ分布は「手」「肘」「足首」「陰部」に多いが、
発疹部とは一致しない。
家族がなると一家全員受診する印象・・・

※原因であるヒゼンダニは皮膚でのみ増殖する。
→つまり、部屋の掃除は意味がほとんどない・・・
→除去するためには、「乾燥機」や「50℃のお湯」が必要
→ピレスロイド系殺虫剤はアースジェット等が効く。

※退治するのがとても大変なので注意

内服薬としはイベルメクチン(ストロメクトール®)を用いる。
作用機序については次の項を参照。

②イベルメクチン(ストロメクトール®)作用機序

ストロメクトールは、広域スペクトル抗寄生虫薬であるアベルメクチン群に含まれる。ストロメクトールは、無脊椎動物の神経・筋細胞に存在するグルタミン酸作動性Cl-チャンネルに選択的かつ高い親和性を持って結合する。(重要)

グルタミン酸作動性Cl-チャンネルへ結合

Cl-に対する細胞膜の透過性が増大

神経又は筋細胞の過分極が生じる

寄生虫は麻痺を起こし、死に至る。

効能効果

「1. 腸管糞線虫症、2. 疥癬」

「疥癬については、確定診断された患者又はその患者と接触の機会があり、かつ疥癬の症状を呈する者に使用すること。」

→家族が疥癬とかの場合も含まれる

※ちなみに犬のフィラリアの薬も同じ成分

用法用量(疥癬の場合)

「通常、イベルメクチンとして体重 1 kg当たり約200μgを 1 回経口投与する。下記の表に患者体重毎の 1 回当たりの投与量を示した。 本剤は水とともに服用する。」

→体重によって投与量が変わる薬の一種。

空腹時に服用する理由

脂溶性の薬なので、食後の服用で吸収が上がってしまうため空腹時に服用する。

添付文書の記載
「 本剤は水のみで服用すること。本剤は脂溶性物質であり、 高脂肪食により血中薬物濃度が上昇するおそれがある。 したがって、本剤は空腹時に投与することが望ましい。」

「 イベルメクチンを錠剤で30mg(347~541μg/kg)単回経口投与した場合、 高脂肪食(脂肪48.6g、784kcal)の食後投与の未変化体AUCは、空腹時投与の約2.6倍に上昇した 」

→体内への吸収が2倍以上になってしまうので空腹時の服用が必要

2回服用する理由

通常2回目は、1回目の治療の1週間後である。
ヒゼンダニの卵には効かないのと、
卵からかえって2週間くらいで卵を産むようになるため2度服用する。

※爪疥癬には無効
→外用による密封療法を行う

補足:安全と言われる理由

・哺乳類ではグルタミン酸作動Cl-チャンネルの存在が報告されていない
・哺乳類の脳の特異的な結合部位に対するイベルメクチンの親和性が線虫に比べ約100倍低いデータがある。
・一部の哺乳類ではアベルメクチン類が血液-脳関門を容易には通過することができないという報告がある。

参考資料
ストロメクトール®添付文書
メーカー説明会、問い合わせ