ポリカルボフィルカルシウム(ポリフル®)の作用機序と特徴について。
そもそも意味があって食後服用。また、制酸剤(マグミット®)と併用する際の注意点についてざっくり整理する
「下痢や便秘は、腸管内の水分量による腸管内容物の形状変化によって生ずる。
腸管内容物の形状を直接正常化する保水性の高分子であるポリカルボフィルカルシウムを用いる。」(インタビューフォームより)
高い吸水性と保水性を有し、膨潤・ゲル化する
→下痢・便秘の両方に効果がある
関連記事
ポリカルボフィルカルシウム(コロネル®・ポリフル®)の特徴について~食後服用の理由も~
①作用機序と特徴
ポリカルボフィルカルシウムは、酸性条件下でカルシウムを脱離する
(この酸性条件下というのが大切)
胃内でカルシウムが脱離してポリカルボフィルになる。
↓
離脱後ポリカルボフィルは、小腸や大腸のような中性条件下で高い吸水性と保水性を示す。
↓
吸水に伴い膨潤・ゲル化する。
↓
・下痢時
ポリカルボフィルが増加した水分を吸収してゲル化する。
↓
亢進した消化管内容物の通過時間を遅延させる
↓
排便回数を減少する。
※通過時間の遅延は便中水分吸収を促し便性状を改善する。
・便秘時
ポリカルボフィルが消化管内で水分を吸水して膨潤する
↓
内容物を軟化もしくは容量を増加させる
↓
遅延した消化管内容物の通過時間を短縮させる
↓
排便回数を増加する。
また、吸水した水分を保持する
↓
便中水分の減少が抑制されて便性状を改善する。
※ポリカルボフィルカルシウムは、吸収されない。
※ 中枢神経、呼吸・循環器などには作用しない
②その他
効能効果
過敏性腸症候群における便通異常(下痢、便秘)及び消化器症状
用法用量
「通常、成人にはポリカルボフィルカルシウムとして 1 日量 1.5~3.0g
(錠:3~6 錠、細粒:1.8~3.6g)を3回に分けて、食後に水とともに経口投与する。」
↓
「食後」と「水とともに」が大切なところ
食後の理由(インタビューフォームより
「本剤は酸によりカルシウムが脱離して十分な薬効を発揮することから、胃酸分泌が最も盛んな食後に投与することが、最も有効であると考えられるため設定している。」
カルシウムを脱離させるためにpHが大切なので、pHが下がる食後に服用することが大切
「水」という文言が入っている理由
用法・用量に関連する使用上の注意
「本剤は、服用後に途中でつかえた場合に、膨張して喉や食道を閉塞する可能性があるので、十分量(コップ 1 杯程度)の水とともに服用させること。」
↓
閉塞する危険があるので、胃腸の閉塞が起こる可能性がある人には禁忌
③ポリカルボフィルカルシウム(ポリフル®) と制酸剤との併用と対策
カルシウムの脱離にpHが関わっていることから制酸剤との併用は注意が必要である。カルシウムの脱離とpHの関係は下記
pH4.1:95%
pH5.1:74%
pH6.1:24%
→結構pHで変わる・・・
制酸剤服用後、胃内pHが4以上を示す時間は投与後10分程度
制酸剤を服用→1時間程度経過すれば、ポリフル®の服用OKとのこと
※おそらく一番多い併用の制酸剤はマグミット®、酸化マグネシウムだろうか
参考資料
ポリフル®添付文書、インタビューフォーム
メーカー問い合わせ