フェリチン とフェリチンの高値について触れる。
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①フェリチン について
体内にある鉄の総量は3~5gであり、70%くらいはヘモグロビンに結合して赤血球に分布している。また、30%程度は、肝臓、脾臓、筋肉、骨髄組織など全身にフェリチンもしくはヘモシデリンとして貯蔵されている。
フェリチンは、アポフェリチンが結合した可溶性の鉄貯蔵蛋白である。
(鉄ミセル)
フェリチンは、トランスフェリンとの間で鉄の交換を行っており、血清鉄の維持に関わっている
→血清鉄を相関しやすい。
そのため、フェリチンを測定することは、生体内の鉄の状態を把握するのに便利である。
増減で確定診断は出来なくても判断材料になる。
基準値
フェリチンの基準値は男女で異なることを知っておこう。
・男性は20~220ng/ml以下、
・女性は10~85ng/ml以下
※女性の基準値の幅が小さい理由は月経による喪失があるためである。
閉経後は、男性の基準値に近づくと言われているので
女性の場合、特に年齢とともに数値を考える必要がある。
※食生活的に鉄の摂取量が多いと高値を示すこともある。
②フェリチン が高い値を示す場合
フェリチンが上昇するという事は、貯蔵鉄が増えているということ。例えば輸血をすると上昇する。
肝疾患
鉄貯蔵器である肝臓が障害されると血清フェリチン値が増加する。
肝臓には700mgほども貯蔵されている。
肝細胞が壊れると逸脱してしまう。
例えば:
非アルコール性の脂肪肝疾患では、フェリチンが高値となることが分かっている。BMIが高い人もフェリチンが上がることが多い。
炎症・感染症・膠原病類
急性炎症、慢性感染症、慢性関節リウマチなどの膠原病では、血清フェリチンは正常、または高値をとることが特徴。
炎症性マーカーも併用する
悪性腫瘍
急性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの造血器腫瘍や
肝がんでも高値となる。
医師が「フェリチン高いけど何だと思う?」って聞かれると
「あっ・・・がん・・・なのかなぁ」なんて思ったりする。
おまけ:鉄と食べ物
鉄分は、食べ物として1日15mgほど摂取され、その10%が胃や十二指腸・空腸(上部小腸)から吸収される。
また、代謝によって、成人男性では約1mg、女性では約0.8mgの鉄が1日に損失している。
食品中には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」がある。
肉類には「ヘム鉄」が、
野菜類、卵、牛乳などには「非ヘム鉄」が多く含まれる。
吸収率は「ヘム鉄」の方が高い。
※1日の食事から鉄を摂取する量は、成人男性では7.5mg、
月経のある女性では10.5mg(月経のない女性:6.5mg)が推奨されている
(厚生労働省より)
参考資料
臨床検査 VOL. 45 NO.7 2001