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痛み・鎮痛剤 薬物動態・相互作用

アセトアミノフェン(カロナール®)の代謝や肝障害について

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何が問題かというとドラッグストアなどでものすごく手軽に
購入できることである。
病院でももらって・・・自分でも勝手・・・
量がどんどん増えてしまうので注意が必要である。
今回のテーマとは逸れてしますが、
よくロキソプロフェン(ロキソニン®)より弱いと言われることがあるが
その認識はどうかと思う。
たしかに抗炎症作用はないが、そもそもアセトアミノフェンは中枢に作用する薬剤であり、ロキソプロフェンは末梢に作用する薬剤である。
違うものなので強弱付けていいものか考えて欲しい

アセトアミノフェンと腎障害はこちらを参照

①アセトアミノフェンの用量

1回1000mg、1日4000mgまで使えるようになっている(2020年現在)
私が勤務する薬局でも500mgの錠剤がよく出される。

定期で服用している人には注意喚起がいる!?

添付文書の重要な基本的注意(7)

「本剤とアセトアミノフェンを含む他の薬剤(一般用医薬品を含む)との併用により,アセトアミノフェンの過量投与による重篤な肝障害が発現するおそれがあることから,特に総合感冒剤や解熱鎮痛剤等の配合剤を併用する場合は,アセトアミノフェンが含まれていないか確認し,含まれている場合は併用を避けること。また,アセトアミノフェンを含む他の薬剤と併用しないよう患者に指導すること」

→つまり、定期でアセトアミノフェンを服用している人には、
服薬指導する必要がある。忘れないようにしないと・・・

②アセトアミノフェンの代謝

代謝は主に肝代謝である。
アセトアミノフェンの 90~100%が主として肝臓で
グルクロン酸(約 60%)、
硫酸(約 35%)
システイン(約3%)
と抱合する。

約10%(個人差があるが)は、
CYP依存的に肝臓で中間活性代謝物N-acetyl-p-benzoquinone imine
(NAPQI)となる。
その後、さらにグルタチオン抱合を受けて不活化され尿中に排泄される。

※わずかな量が未変化体として排出される(数%)

③アセトアミノフェンによる肝障害

NAPQIによる肝障害

アセトアミノフェンが過剰量となり
グルクロン酸縫合や硫酸抱合の処理能力を超えると・・・



主としてチトクロームP450を介して代謝されるようになる。
(普段は10%程度なのに・・・)



さらにNAPQIの解毒に関わるグルタチオン抱合も限界に達すると



肝内にNAPQIが蓄積し、
肝細胞構成蛋白と共有結合して肝細胞障害が惹起されてしまう

※解毒は、N-アセチルシステイン 肝障害の軽減に用いる

添付文書上の警告

「(1)本剤により重篤な肝障害が発現するおそれがあることに注意し,1日総量1500mgを超す高用量で長期投与する場合には,定期的に肝機能等を確認するなど慎重に投与すること。
(2)本剤とアセトアミノフェンを含む他の薬剤(一般用医薬品を含む)との併用により,アセトアミノフェンの過量投与による重篤な肝障害が発現するおそれがあることから,これらの薬剤との併用を避けること。」



つまり、定期薬でカロナールを多めに服用している方は採血結果をみて
薬剤師としても副作用が起こってないか評価をする必要がある。

どんな症状が?

添付文書の重要な基本的注意(8)
「アセトアミノフェンの高用量投与により副作用として腹痛・下痢がみられることがある。本剤においても同様の副作用があらわれるおそれがあり,上気道炎等に伴う消化器症状と区別できないおそれがあるので,観察を十分行い慎重に投与すること。」

→胃腸障害(腹痛・下痢)がないかのチェックは必要

補足:グルタチオンが欠乏している人

高齢者
栄養失調
慢性アルコール過剰摂取者
(アルコール依存症)など

参考資料
カロナール®添付文書、インタビューフォーム