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生薬・漢方薬 痛み・鎮痛剤

薏苡仁湯(ヨクイニントウ)について~ヨクイニン錠とは違う~

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漢方的な考えでは体の中に水がたまると痛みが生じる。
薏苡仁湯は簡単に言うと、
その水分を取り除き、冷えによって悪くなる痛みを改善する。
「血」に関わる生薬も配合されていることから血のめぐりが悪い人にも良い。
「変形性関節症」や「関節リウマチ」の人などに用いる。
薏苡仁湯についてざっくりまとめることにする。

①薏苡仁湯

構成生薬

麻黄(マオウ)、当帰(トウキ)、 蒼朮(ソウジュツ)、
薏苡仁(ヨクイニン)、 桂皮(ケイヒ)、 芍薬(シャクヤク)、
甘草(カンゾウ)

7つの生薬から構成されている。
よってヨクイニン®錠とは別物である。

生薬ごとの簡単な特徴は下記である。

・滞った水を外に出す(さばく)生薬→蒼朮、薏苡仁
・体表の冷えを発散させる生薬→麻黄、桂皮
・血の補う生薬→当帰、芍薬

漢方的な考え

漢方の古典(明医指掌)に記載されている薬方である。
手足ノ流注、疼痛、麻痺不仁、以テ屈伸シ難シキヲ治ス。(原典)

関節、組織中の浸出液の停滞を治し、筋肉の緊張を緩和し血液循環障害を改善する。原典を見ると運動障害がある者も対象となる。

②ツムラの添付文書

効能・効果

「関節痛」、「筋肉痛」

体力中等度あるいはそれ以上の人で、比較的慢性に経過する四肢の関節、筋肉の疼痛、腫脹、熱感のある場合に用いる。

使用上の注意(抜粋)

「(2)著しく胃腸の虚弱な患者
(3)食欲不振、悪心、嘔吐のある患者」

「麻黄」と「当帰」を含むため、胃腸の弱い人は注意なので上記のような記載がある。
→吐き気、腹痛、下痢など胃腸障害がないが聞き取りすることも大切である。

「麻黄」の胃腸障害については関連記事をこちらをチェック
漢方薬の胃腸障害について~「麻黄」・「地黄」・「石膏」に注意~

③薏苡仁(ヨクイニン)

イネ科のハト麦の種皮を取り除いたもの
ハト麦茶とは、使用部位が異なるので同一ではない。
種皮を取り除かずに焙煎したものである。

体表の余分な水分を取り除く性質がある
そのため、単独では、ヨクイニン®錠として「水いぼ」に用いる。
抗炎症作用も知られている。

水を除去する作用がある生薬は「便秘がちな人」や「妊婦」には慎重に用いる必要がある。

「麻黄」+「薏苡仁」との組み合わせで関節周囲の痛みをとる。

漢方薬の例:
麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)、薏苡仁湯

燥性からのアプローチ

変形性関節症や関節リウマチなどの類の痛みを訴える人は、雨の日などに痛みが生じたり、悪化したりする。
水の滞りをどうにかしたい・・・
麻黄と薏苡仁は「燥性」であるため乾かすイメージを持つと理解しやすい

参考資料
ツムラ薏苡仁湯、添付文書、インタビューフォーム
明医指掌