間質性肺炎と特発性肺線維症について~ざっくりと~
①間質性肺炎と特発性肺線維症
「肺胞の壁に炎症や線維化が起こる病態」
「治療が困難な進行性の慢性疾患」
※肺胞の周りの部分を間質とよぶ
間質の毛細血管でガス交換が行われる
ざっくりと言うと・・・
何かが原因でガス交換がうまくできない
↓
大量のコラーゲンが間質に蓄積
↓
間質が厚く固くなる
↓
肺胞の壁の線維化(咳が出たり、息苦しくなる)
線維化が進むと肺胞が縮む
その中で原因が特的できないもの
「特発性間質性肺炎」という。
※特発性は「原因不明」のものを指す
また、ステロイドが効かない(肺の線維化)タイプを
「特発性肺線維症」という。「特発性間質性肺炎」の50~60%程度
Idiopathic pulmonary Fibrosis:IPF
②発症率・予後
・日本での患者数1万数千人程度
・女性より男性に多い(男女比2:1)
・50歳以降で発症することが多い
・自覚症状が出てから生存期間は、3~5年程度
生存率の中央値は3年
3年・・・3年・・・
③リスク因子
「加齢」・「喫煙」・「遺伝」
「家畜・動物の粉塵」「理髪・クリーニング業」
「金属・木材・石材の粉塵」
↓
粉っぽいものに暴露する仕事は要注意!!
また、喫煙率が高く、禁煙は必要
④症状
「空咳(乾性咳嗽)」・「労作時呼吸困難」
患者の25~50%に「バチ指」がある
※指先が太鼓を叩くバチのように盛り上がり、 爪が丸くなる
→うちの外来で来られた患者も「動く」ときついと言う
進行すると、「肺性心」・「チアノーゼ」・「抹消性浮腫」など
※「急性増悪」で4割が亡くなってしまう。
「急性増悪」が起こったときの平均生存期間は、2ヶ月以内・・・
風邪やインフルエンザが原因で増悪することある。「感染症」に注意が必要
※日頃からの手洗い・うがい・肺炎やインフルエンザワクチンが重要
その他急性増悪の要因として、「心不全」、「気胸」、「肺塞栓症」など
④治療法
残念ながら、失われた肺の機能は戻らないので、悪化しないように維持することを目標とする
「治療」と言えるかは別問題だが・・・以下のものがある。
薬物治療については別記
・薬物療法
・在宅酸素療法
→延命効果はないが生活の質の向上に役立つ
また、急性増悪の頻度を減らす効果がある
・運動療法
・肺移植 など
参考資料
特集:IIPs の診断と治療 長井苑子 日本呼吸器学会誌42(1),2004
日本呼吸器学会 びまん性肺疾患診断・治療ガイドライン作成委員会編:特発性間質性肺炎診断・治療の手引き改訂第2版 南江堂,東京 2011