特徴と食前の理由についてざっくりとまとめる。
補足:機能性ディスペプシアについて
①特徴について
・機能性ディスペプシアに適応がある(珍しい)
・器質的異常を除外する必要がある
・1か月服用して効果がない場合は、中止を考える必要がある
・消化管への選択性が高い末梢性コリンエステラーゼ阻害薬
・末梢性への選択性が高いため中枢神経、循環器への影響はないと言われている
・食前の服用
適応症(効能・効果)
「機能性ディスペプシアにおける食後膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感」
※機能性ディスペプシアにおける心窩部の疼痛や灼熱感に対する有効性はない
※胃カメラなどで器質的な異常がないことを確認しないといけない。
「上部消化管内視鏡検査等により、胃癌等の悪性疾患を含む器質的疾患を除外すること。」
※漫然と長期投与してはいけないので注意。服薬指導時にも効果を聞く必要がある。
「本剤を1ヵ月間投与しても症状の改善が認められない場合は本剤の投与中止を考慮すること。」
作用について
アセチルコリンエステラーゼを阻害
↓
副交感神経終末から遊離されるアセチルコリンの分解を抑制
↓
シナプス間隙におけるアセチルコリン量が増える
↓
消化管運動機能を改善する
※QT延長には影響を及ぼさない
主な副作用
下痢(2.1%)、便秘(1.6%)、悪心(0.8%)、嘔吐(0.5%)などの消化器症状
※臨床試験における安全性評価より
補足:機能性ディスペプシアとは?
症状の原因となる器質的、全身的、代謝性疾患がないにもかかわらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患
②食前服用の理由
用法用量
「通常、成人にはアコチアミド塩酸塩水和物として1回100mgを1日3 回、食前に経口投与する。」
食前の理由①
「機能性ディスペプシアにおける食後膨満感、上腹部膨満感、早期満腹感」
適応である上記の症状が「食後」であることから「食前」の服用がよい。
※インタビューフォームに上記のような記載があるので敢えて①とした。
食前の理由②
食事の影響を受けることが分かっている。
食前の服用の方がAUCとCmaxが食後服用よりも高い
インタビューフォームより
「食事の影響
健康成人男性に本剤1回1錠(アコチアミド塩酸塩水和物として100mg)を空腹時、食前又は食後に経口投与したとき、Cmaxは食前投与で最も高く、空腹時投与に比べ62.7%上昇した。また、食後投与のCmaxは食前投与の59.6%であった。AUClastは、食後投与で最も低く、空腹時及び食前投与に比べそれぞれ76.8%及び80.0%に減少した。」
参考資料
機能性消化管疾患診療ガイドライン2014
アコファイド®添付文書、インタビューフォーム