褥瘡 とは?定義・期間・原因・BEEについて簡単にまとめる
褥瘡 についての好発部位と湿潤環境に関してはこちらの記事を参照
①褥瘡 の定義(日本褥瘡学会2005)
「体に加わった外力は骨と皮膚表面の間の軟部組織の血流を低下、あるいは、停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる」
※阻血性:通常より血流が悪くなっている状態
↓
外力(圧力)により血流が悪くなることで生じる皮膚の潰瘍。
※一番の好発部位は仙骨部である。
しかし、外圧がかかればどこにでも出来るので注意
頻度は低いが、寝たきりの酸素マスクの顔との接点でも起こることがあるので仙骨部だけでない。
②期間:どれくらいで 褥瘡 は出来る?
「200mmHgの圧迫が2時間以上加わると、皮膚は壊死する」
これが体位変換を2時間ごとにする理由らしい。
意外とすぐ褥瘡は、出来てしまうのでびっくり・・・
※体圧分散は、2~3時間ごとに体位を変えて、体圧分散マットレスなどを使う工夫が必要
③阻血によって何が起こる?
・血流の悪化
グルコースの供給不足→嫌気性代謝による乳酸蓄積→pH低下
さらに血流悪化と圧迫により産生されたフリーラジカルや
炎症性サイトカインの蓄積
・リンパの流れの悪化
老廃物の蓄積
④褥瘡 の原因は?【外圧以外】
・低栄養状態
※脱水あるいは血清アルブミン3.5g/dL以下
※夏場の脱水は褥瘡が悪化するため注意
・体重減少、加齢による皮膚状態の悪化
※タンパク質がそもそも少なくなっている
※皮膚が乾燥すると出来やすい
・あまり動けない状態
外圧に関係するが活動性が低下したり、意識が低いと
動かないので注意が必要。外圧を分散出来ない。
その他にも介護不足などの影響や色々な原因が存在する。
⑤栄養補給について
褥瘡予防・管理ガイドライン第3版を見ると、以下の事が書かれている。
「褥瘡の治癒のためには必要エネルギーとして基礎エネルギー量の1.5倍以上を補給することが推奨されている
また、タンパク質を必要量補給することが大切。
亜鉛、アルギニン、アスコルビン酸などが欠乏しないように補給してもよい。」
参考:エネルギー量の算出
基礎エネルギー量(BEE)の求め方
・BEE(basal energy expenditure) をHarris-Benedictの公式から算出
男性:66.47+(13.75×体重)+(5×身長)-(6.76×年齢)
女性:665.1+(9.56×体重)+(1.85×身長)-(4.67×年齢)
・簡便な算出法①
日本人に
男性BEE=14.1×体重(kg)+620
女性BEE=10.8×体重(kg)+620
・簡便な方法②
BEE概算値(平均)
BEE≒25kcal/kg/day
参考資料
日本褥瘡学会定義2005
褥瘡予防・管理ガイドライン第3版
大柳治正:「コメディカルのための静脈・経腸栄養ガイドライン」
(日本静脈経腸栄養学会編)pp9-15、南江堂(2000)