①定義
特発性後天性全身性無汗症:
(acquired idiopathic generalized anhidrosis; AIGA)
定義:
「後天的に明確な原因なく発汗量が低下し,発汗異常以外の自律神経異常および神経学的異常を伴わない疾患」
↓別の言い方とすると・・・
「後天的に明らかな原因がなく汗をかくことができなくなり血圧が低くなるなどの他の自律神経異常および神経学的異常を伴わない疾患」
※特発性→原因不明ということ
※後天性→生まれた後に発症。反対の先天性は生まれつきの遺伝的なことが原因。
※無汗症→汗をかく環境でも汗をかくことが出来ない症状
患者分布は、85%は男性で20~40代に多い。全国に150人くらい。
とても珍しい・・・
②症状
運動や暑い環境で汗をかけないので体温が上昇するので脱水症になりやすい。
具体的には、
「全身のほてり感」、「体温上昇」、「脱力感」、「疲労感」、「顔面紅潮」、「 悪心・嘔吐」、「頭痛」、「めまい」、「動悸」
※皮膚のピリピリとした痛みを自覚したり、膨疹が出ることもある。
コリン性蕁麻疹というものである。
これまでの疫学調査によりますと、患者の85%以上は男性です。また20-40歳台の方に多い傾向があります。
③治療
軽症の場合
抗ヒスタミン薬や葛根湯などの漢方薬が使われたりする。
抗ヒスタミン剤が2種類処方されるケースもある。
コリン性蕁麻疹を伴うとヒリヒリ感もあるためである。
重症の場合
ステロイド・パルス療法という治療法を行うことがある。
副腎皮質ステロイドホルモンであるメチルプレドニゾロン(500~1000mg/日)を3日間点滴静注する。
回数としては1~2回など患者によって異なる。
ステロイドが無効な例では、
シクロスポリン投与を行う場合がある。
その他
ピロカルピン(サラジェン®):
発汗を伴わないコリン性蕁麻疹を伴うことがあるが、
そういった場合に
アセチルコリン受容体刺激薬であるピロカルピン(サラジェン®)を用いることがある。ピロカルピンの内服薬としての副作用として元々「発汗」、「多汗」があるので使用されることがある。適応外使用である。
ピロカルピン(サラジェン®)の薬理作用と特徴について
④生活指導
熱中症を避けるために、暑熱環境や蒸し暑い状況からの回避する必要がある。
・運動を制限すること
・体を冷やす
・エアコンをうまく使う
・衣類による体温調節(涼しくなる服)
・保冷剤を携帯してくびや腋の下を随時冷やす
・ペットボトル水の携帯
・サウナはNG
※熱を避ける
※熱中症を防止する
参考資料
公益財団法人難病医学研究財団ホームページ(厚生労働省補助事業)