ミルタザピン (リフレックス®)の眠気の副作用が若者に多い理由について
ざっくりと整理する。
意外と眠気が多いので注意が必要である
おまけ:カリフォルニアロケット療法について
①ミルタザピン の眠気の副作用が若者に多い理由
ポイント:年齢とセロトニン受容体の数
解説
基本的にミルタザピン(リフレックス®)の副作用である「眠気」は若者に多く、
高齢者に少ない。
睡眠に関係しているのはセロトニン受容体である。
セロトニン受容体の数は、
20才を過ぎると、10年ごとに13%ずつ減少するので
「眠気」の副作用は、高齢者の方が少ないのだ。
ミルタザピンの基本的知識
だいたい1週間目から効果が出てくる。
副作用として「傾眠」、「倦怠感」、「体重増加」などがある。
アクチベーションシンドロームが起きにくい薬剤である。
補足:アクチベーションシンドローム
Activation syndorome(賦活症候群)とは、
抗うつ剤の開始初期や用量変更時などに生じる行動毒性のことで、不眠、不安、焦燥、パニック発作、易刺激性、衝動性などの症状を呈する症候群のこと
別記事にも載せているので下記参照
アクチベーションシンドロームについて
②カリフォルニアロケット療法とは?
自分は、最初に聞いたときは何だそれ?と思った・・・
具体的には、
「SNRIとNaSSAの併用療法のこと」
※精神薬理学者 スティーブン・M・ストールが提唱したもの
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)とは?
神経終末でセロトニン(5-HT)とノルアドレナリン(NA)の再取り込み部位に作用
↓
シナプス間隙における5-HTとNAの濃度を上げる
↓
神経伝達を活発にする薬剤である。
ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA)とは?
・ノルアドレナリン神経終末でα2自己受容体に結合・ブロック
(α2受容体は、ノルアドレナリン放出の抑制の役割を担っている)
↓
ノルアドレナリンの放出を促進する。
・セロトニン神経終末のα2ヘテロ受容体に結合・ブロック
(セロトニン放出の抑制を担っている)
↓
セロトニンの放出を促進する。
SNRIとNaSSAを併用すると・・・
それぞれ違う作用により
↓
セロトニンとノルアドレナリンの濃度を上昇させる
↓
「効果を上げる」
「単体の薬の増量により出現する副作用を避ける」
といった期待ができる療法
※誰にでも効果があるわけではない
うつ病に対して単在投与を基本とするため
うつ治療において困ったときの1つの手段にすぎない
※ 注意しないといけないこと
慎重に増量しなければ・・・
うつの患者が躁転する可能性があるということである。
補足
勉強会にて、リフレックス®とレクサプロ®を併用することで
単剤よりも 効果が出た話があったので今後気になるところ・・・
参考資料
精神科のくすりを語ろう その2 熊木徹夫
各添付文書
明治問い合わせ