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精神科 薬物動態・相互作用

選択的セロトニン再取り込み阻害薬の副作用 (性機能障害、射精障害)を考える~原因・症状・対策~

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選択的セロトニン再取り込み阻害薬の副作用 (性機能障害、射精障害)を考える。原因・症状・対策など

①性機能障害の原因

セトロニンの5-HT2A/5-HT2C受容体を介した
アゴニスト作用が関与すると考えられている。

②症状

満足に勃起しなくなったり、射精がうまくいかなかったり・・・
性欲が減退したりする。
SSRIの適応は「うつ」のため
薬が原因なのか?
うつの症状からの「気持ち」の問題なのか?が 問題となる・・・

性機能障害が起こると
著しくQOLが低下している可能性があるので注意

※SSRIによる性機能障害は用量依存的と言われている。
副作用の消化器症状「悪心」「食欲不振」などは、2週間程度で落ち着くことが多いので
ひどい時は制吐剤で対応できる。
しかし、継続的な服薬により性機能障害は改善しないので注意が必要

③対策

・基本的には、原因薬物の中止する。
数日で症状が改善すると言われている。 

・他の薬剤に変更
性機能障害の頻度が低いSNRI(デュロキセチン)
やNaSSAのミルタザピン(リフレックス®)への変更を考える。

※ ミルタザピンは5-HT2A/5-HT2C受容体に対して
アンタゴニスト作用があるため 性機能障害はおきにくい。

補足:添付文書・インタビューフォーム上の記載について

パロキセチン(パキシル®)

「海外で実施された臨床試験において、本剤を含む選 択的セロトニン再取り込み阻害剤が精子特性を変化 させ、受精率に影響を与える可能性が報告されている。」

「強迫性障害患者を対象とした本邦での臨床試験において95 例中6 例(6.3%)に射精遅延等の性機能異常が認め られた。」

セルトラリン(ジェイゾロフト®)

「SSRIは国内外において射精障害、持続勃起症、オルガズム障害(男女共)、性欲減退(男女共)等の性機能障害を引き起こす可能性が示唆されている。一方で、性機能障害はうつ病・うつ状態や不安障害といった精神疾患をはじめ、糖尿病などの身体疾患などによっても生じる可能性がある。したがって、本剤を投与する前にはその時点における性機能障害の有無や原因ならびにその症状について確認し、患者に対しては、性機能障害は原疾患によっても抗うつ剤によっても生じる可能性があることを説明の上、性機能に変化が生じた場合は医師に伝えるよう説明すること。また、本剤の投与開始後は、性機能の変化を定期的に評価し、本剤によって性機能障害が生じた場合は、他の副作用と同様、用量を調節するなど適切な対処を行うこと。」

→女性の方にも言及されている。なかなかフォローが難しそう・・・

エスシタロプラム(レクサプロ®)

「国内臨床試験において、性機能障害の副作用は550例中17例(3.1%)に認められた。その内訳は、男性252例中、射精障害11例(4.4%)、射精遅延2例(0.8%)、射精不能1例(0.4%)、勃起不全1例(0.4%)、リビドー減退2例(0.4%*)であった。すべて軽度から中等度で中止に至ったものはなかった。なお、女性(298例)においては性機能障害の報告はなかった。」

「海外添付文書では、リビドー減退(男性・女性)、無オルガズム症(女性)、射精障害、インポテンス(男性)はCommon(よくみられる:1%以上10%未満)、持続勃起障害(男性)はNot known(頻度不明:入手可能なデータから推定できない)と記載されている」

→意外と多いですね?
国内が少ないのは、自発的に言いづらいという側面があると考えれている。
概ね数パーセント可能性としてあるため注意が必要である。

参考資料
各薬剤、添付文書、インタビューフォーム