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間質性肺炎と癌について~KL-6の基準値や臨床的意義~

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間質性肺炎と癌について~KL-6の基準値や臨床的意義~

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①間質性肺炎と癌

間質性肺炎は高い確率で肺癌を合併することが分かっている。
さらに線維化があると肺線維症と呼ばれる。
間質性肺炎の中で原因が分からないものを
特発性間質性肺炎(IIP:idiopathic interstitialpneumonia)と言われる。
そのなかで、特発性肺線維症(IPF:idiopathic pulmonary fibrosis)
は肺癌のリスクが高い。

※ちなみに間質性肺炎は、肺胞あたりでの炎症をメインとする
多数の疾患の総称である。そのため特定の疾患を表しているわけではない。

補足:特発性間質性肺炎を合併した肺癌の特徴

・男性に多い
・高齢者に多い
・職歴として吸入歴のあるものに多い
・間質性肺炎の中でも長期生存例に多い
・重喫煙者に多い
・肺癌の組織型に偏りがない
・線維化巣あるいは線維化巣と接する領域で高頻度に肺癌が発生する
・末梢や下葉発生が多い
・重複・多発肺癌の頻度が高い

岡田守人:間質性肺炎を合併した患者における肺癌手術.
呼吸 26 : 161―164, 2007より

②KL-6とは?

分子量100万以上の分子量をもつ、シアル化糖蛋白である。
間質性肺炎の血清マーカーとして感度と特異度が90%を超える。
また、KL-6は腺癌でも上昇するため、間質性肺炎と癌を合併した場合は注意する。
※腺癌:肺腺癌、乳癌、膵癌など

KL-6は、
健常者の細気管支上皮細胞やII型肺胞上皮細胞に比較的明瞭に発現されている。しかし、間質性肺炎の再生肺胞上皮細胞にはより強く発現されていることが分かっている。さらに肺癌細胞では、間質性肺炎より高値となる。

基準値は?

500未満 U/mL

※低い値での臨床的意義は今のところ少ない。

どう使われる?

・間質性肺炎や治療経過の判断に使われる。

活動性の間質性肺炎では、非活動性の場合より高値を示す。
つまり、活動性の把握にも使える。

・治療薬中止の判断根拠にもなり臨床経過にも有用である。

※血清KL-6 値の増加は,炎症の有無や強さを表すものでなく、主として肺胞上皮傷害の程度,肺胞領域の上皮血管透過性の程度を反映すると考えられている。
そのため、炎症性マーカーと合わせて臨床上検討される。

参考資料
岡田守人:間質性肺炎を合併した患者における肺癌手術.呼吸 26 : 161―164, 2007
河野修興:間質性肺炎と肺癌.日本内科学会雑誌 第98巻 第 9 号
Chest.1989;96:68-73
Am Rev Respir Dis. 1993;148:637-642