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フルオロキノロン系薬剤と大動脈解離・大動脈瘤・アキレス腱炎について

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フルオロキノロン系薬剤と大動脈解離 ・大動脈瘤・アキレス腱炎について触れる。
医薬品安全対策情報(DSU)2019.1.NO276に「重要」として記載された。

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フルオロキノロン系薬剤と大動脈解離 ・大動脈瘤・アキレス腱炎

ニューキノロン系の薬剤は、臨時で出ることも多いし、新患で一度きりのこともある。そのため、薬局での問診の重要性を感じる。腎機能以外にも注意すべき項目があり、このテーマもその1つである。

添付文書の「重要な基本的注意」に以下のように記載するよう指示が出た

引用:
大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがあるので、観察を十分に行うとともに、腹部、胸部又は背部に痛み等の症状があらわれた場合には直ちに医師の診察を受けるよう患者に指導すること。大動脈瘤又は大動脈解離を合併している患者、大動脈瘤又は大動脈解離の既往、家族歴若しくはリスク因子 を有する患者では、必要に応じて画像検査の実施も考慮すること。」

薬局でも確認すべき指導すべきことはありそう・・・

考えられている機序(はっきりとは分かっていない)

マトリックスメタロプロテアーゼ(Matrix metalloproteinase; MMP)が関係している?

体内でコラーゲンは腱や骨 コラーゲンは、通常のたんぱく質酵素では分解されないが、MMPはコラーゲンを切断し繊維を変化させると言われている。

フルオロキノロン系薬剤を服用する



MMPの発現増加を引き起こす


 
コラーゲンを切断してしまう



大動脈解離・大動脈瘤・アキレス腱炎を引き起こす。

※補足(コラーゲンについて~ざっくり~)

動脈血管は内膜・中膜・外膜から成っている。
血管の中膜は平滑筋と弾性線維で出来ており、コラーゲンが含まれている。
コラーゲンには幾つか種類が存在する。
例えば、コラーゲンⅠやⅤは「引っ張りに耐える」作用がある。
存在部位としては、「真皮、腱、靭帯、臓器の被膜、骨、象牙質、セメント質、胎盤」などが知られている。

大動脈解離を引き起こしやすい人

NIHS 医薬品安全性情報 Vol.16 No.25(2018/12/13) より示されている

以下のような患者は,大動脈瘤および大動脈解離を起こしやすい。 

・脈瘤性疾患の家族歴がある患者

・大動脈瘤および/または大動脈解離の診断歴がある患者

・大動脈瘤および大動脈解離を起こしやすくする他のリスク因子または疾患
(例えば,マル ファン症候群,血管型エーラスダンロス症候群,高安動脈炎,巨細胞性動脈炎,ベーチェッ ト病,高血圧,既知のアテローム性動脈硬化症など)がある患者

→やはり「既往歴」や「高血圧」の人は注意する必要がある

高齢者はほとんど注意しないといけないのか・・・

何を注意する?(薬局できることは何だろう)

・家族歴・既往歴の確認
・リスク因子として気づけそうなもの(高血圧・アテローム性動脈硬化)
・服用して「腹部痛」「胸痛」「背部痛」が生じたら再び受診する旨の説明

→ニューキノロン系の薬剤は、臨時で出ることも多いし、新患で一度きりのこともある。そのため、薬局での問診の重要性を感じる。

フルオロキノロン系の例

・モキシフロキサシン(アベロックス®)
・トスフロキサシントシル酸塩水和物(オゼックス®)
・レボフロキサシン水和物(クラビット®)
・シタフロキサシン水和物(グレースビット®)
・メシル酸ガレノキサシン水和物(ジェニナック®) など

これらの品目は、薬局でもよく目にする。採用品目は最低でも確認しておきたい

補足:アキレス腱炎

ちなみに・・・他の副作用として「アキレス腱炎」などの腱障害の記載があるが、機序は同様であると思われる

参考資料・文献
クラビット®添付文書
2019年1月10日薬生安発0110第2号別紙4
NIHS 医薬品安全性情報 Vol.16 No.25(2018/12/13)
医薬品安全対策情報(DSU)2019.1.NO276