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ニューキノロン系薬剤と結核について~使う時は慎重に~

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今回は、呼吸器感染症である結核に対するニューキノロン系薬剤の注意点を簡単にまとめる。
尿路感染症、消化器感染症、呼吸器感染症ではニューキノロン系薬剤を使いがちなのでどうにか減らすようにしないといけない。

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ニューキノロン系薬剤と結核

最近、第一選択薬としてニューキノロン系薬剤を使用しない方向になっている。
その理由として、結核をマスクする可能性があり耐性化を招いてしまうという問題があるからだ。
診察の際にレントゲンを撮って・・・採血して・・・
「肺炎」という診断が出てニューキノロン系薬剤を出してしまうことは危険なのである。

※結核と診断され、ニューキノロン系薬剤を使用する場合は除く
(おそらく少ないケースだとは思うが・・・)
※もしも呼吸器感染症にニューキノロン系薬剤を使いたい場合は、「結核」を除外する必要がある。

何が問題ないのか?

基本的には、結核菌に対して抗菌活性(7-8割改善させる)はある。
しかし、耐性菌が生じやすく悪化してしまう。
その結果、肺炎と診断してニューキノロン系薬剤を使用した場合
結核の発見が遅れてしまうのだ。
報告によると2週間程度遅れるんだとか・・・
かなり遅れるので注意が必要である。
結核の発見が遅れることで死亡リスクが1.8-6.9倍程度増加するという報告もある。

ニューキノロン剤においても、他の抗結核薬と同じく単剤治療によって耐性化を招き、他のニューキノロン剤にも交差耐性を起こす可能性がある。

参考として・・・
有症状肺結核患者の診断の遅れ(初診から診断に1カ月以上)の割合は21.5%、発見の遅れ(発症から診断に3カ月以上)の割合は20.4%に上るという報告もあるので十分注意が必要だろう。

Rastogi N, et al: Emergence during unsuccessful chemotherapy of multi drug resistance in a strain of mycobacterium tuberculosis. Eur J Clini Microbiol Infect Dis, 11: 901-907, 1992

川原伸 他:難治性結核の治療.新抗結核剤-ニューキノロン系薬剤について.結核67: 679-682, 1992

Wang JY, Hsueh PR, Jan IS, et al. Empirical treatment with a fluoroquinolone delays the treatment for tuberculosis and is associated with a poor prognosis in endemic areas. Thorax 2006; 61: 903-8

Dooley KE, Golub J, Goes FS, et al. Empiric treatment of community-acquired pneumonia with fluoroquinolones, and delays in the treatment of tuberculosis. Clin Infect Dis 2002; 34: 1607-12

 Yoon YS, Lee HJ, Yoon HI, et al. Impact of fluoroquinolones on the diagnosis of pulmonary tuberculosis initially treated as bacterial pneumonia. Int J Tuberc Lung Dis 2005; 9: 1215-9

平成27年結核登録者情報調査年報集計結果について 厚生労働省