ボグリボース (ベイスン)はについて簡単にまとめる。
α-グルコシダーゼ阻害薬の中でも耐糖能異常(IGT)における2型糖尿病発症抑制が示されている。耐糖能異常についても触れたいと思う。
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①耐糖能異常(IGT)とは?
IGT:impaired glucose tolerance
軽度の耐糖能異常は、糖尿病ではなく正常と糖尿病の境界型のことを指す
よく耳にするのは「糖尿病境界型」や「糖尿病予備軍」という言葉である。
何で判断するかと言うと75g糖負荷試験を用いる。
その中で下記の数値の範囲に該当すれば境界型という事になる。
空腹時血糖(静脈血漿値)<126mg/dLであり、
140mg/dL≦負荷後2時間血糖値(静脈血漿値)<200mg/dL
②ボグリボース (ベイスン®)の0.2mgと0.3mgの違い
ボグリボースの0.2mgにのみ①に使えるので簡単に紹介する。
ベイスン®の添付文書を見てみる。
効能・効果
見てもらうと分かるように0.2mgのみ
「耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制」に使える。
はっきりと「糖尿病」と診断されなくても使えるところがビックリである。
「〈ベイスンOD錠0.2、0.3〉
・糖尿病の食後過血糖の改善
(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合、又は食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下剤若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る)
〈ベイスンOD錠0.2〉
・耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制(OD錠0.2のみ)
(ただし、食事療法・運動療法を十分に行っても改善されない場合に限る)」
用法用量
飲み方は、基本的に糖尿病と同じ1日3回で服用する。
「〈耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制(OD錠0.2のみ)〉
通常、成人にはボグリボースとして1回0.2mgを1日3回毎食直前に経口投与する。」
使用前の注意点
境界型なだけでは使えないので注意!
運動療法をがんばって・・何か1つ該当しないと使えない。
ちなみに運動は3か月から6か月頑張ってみないといけない。
「本剤の適用は、耐糖能異常(空腹時血糖が126mg/dL未満かつ75g経口ブドウ糖負荷試験の血糖2時間値が140~199mg/dL)と判断され、糖尿病発症抑制の基本である食事療法・運動療法を3~6ヵ月間行っても改善されず、かつ高血圧症、脂質異常症(高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症等)、肥満(BodyMass Index:BMI 25kg/m2以上)、2親等以内の糖尿病家族歴のいずれかを有する場合に限定すること。」
使用後の注意点
糖尿病に関連する検査値の測定や体重の結果観察が必要なため
注意が必要、漫然と続けているのではいけないことを知っておくと良い。
「本剤の投与開始後は、1~3ヵ月毎を目安に空腹時血糖、随時血糖、HbA1c等の糖代謝関連検査及び体重測定を実施するとともに、6~12ヵ月毎を目安に75g経口ブドウ糖負荷試験を実施して十分に経過観察し、常に投与継続の必要性に留意すること。また、血糖高値(空腹時血糖、75g経口ブドウ糖負荷試験の血糖2時間値)や糖負荷後初期インスリン分泌低下等を有する場合には、糖尿病発症リスクが高くなるとの報告があるので、十分な観察を行うこと。なお、2型糖尿病と診断された場合には、適切と考えられる治療への変更を考慮すること。また、本剤投与開始後に耐糖能異常が改善し、食事療法・運動療法のみで十分と判断される場合には、本剤の投与を中止して糖代謝関連検査等による経過観察を行うこと。」
参考資料
門脇 孝,空腹時・食後高血糖とその診断基準:日内会誌 98:717~724,2009
ベイスン®添付文書、インタビューフォーム