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循環器

イバブラジンの特徴 について(商品名コララン)~今後追記予定~

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イバブラジン の特徴について(商品名コララン)簡単にまとめる。注意すべき副作用もある。
心不全患者にとって心拍数は予後不良の因子であるため心拍数を下げる治療は大切である。 

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イバブラジン(コララン®)の特徴

効能・効果

「洞調律かつ投与開始時の安静時心拍数が75回/分以上の慢性心不全」
(ただし、β遮断薬を含む慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る)

※「β遮断薬の最大忍容量が投与されても安静時心拍数が75回/分以上の患者に投与、又、β遮断薬への忍容性がない、禁忌である等β遮断薬が使用できない患者にも投与可能」

→β遮断薬が使用できない場合も使えるのもポイントである。
β遮断薬が禁忌の場合などは使用できるので良さそう

※心房細動に使えない。服用していて心房細動を発症した場合は、中止する必要がある。

用法用量

「通常、成人にはイバブラジンとして、1 回 2.5mg を 1 日 2 回食後経口投与から開始する。開始後は忍容性をみながら、目標とする安静時心拍数が維持できるように、必要に応じ、2 週間以上の間隔で段階的に用量を増減する。1 回投与量は2.5、5 又は 7.5mg のいずれかとし、いずれの投与量においても、1 日 2 回食後経口投与とする。なお、患者の状態により適宜減量する」

→基本的に1日2回服用する

「本剤の維持量は、安静時心拍数及び忍容性を基に個々の患者に応じて設定すること。目標とする安静時心拍数は 50~60 回 / 分とし、安静時心拍数が 60 回 / 分を超える場合は段階的に増量、安静時心拍数が 50 回 / 分を下回る又は徐脈に関連する症状(めまい、倦怠感、低血圧等)が認められた場合は段階的に減量する。」

→目標値と増量・減量の目安が具体的に書かれている。
薬局でも用量調節があった場合は、色々確認する必要があるだろう。

「1 回 2.5mg、1 日 2 回食後経口投与において継続して安静時心拍数が 50 回 / 分を下回る又は徐脈に関連する症状が認められた場合は、本剤を中止すること」

→徐脈がひどいと中止しないといけない。

「本剤を休薬した後、投与を再開する場合には休薬前の用量を超えない用量で再開すること。安静時心拍数が本剤投与開始前値付近の場合には、低用量から投与を開始し、段階的に増量することが望ましい」

→再開する際は、休薬前の量が参考になるのでチェック!

注意すべき副作用

・徐脈(8%)
→定期的に心拍数を測定する必要がある。

・光視症(2.8%)、霧視(0.4%)
→投与開始3か月以内に起こりやすい
→一過性にまぶしくなったりする。その際、運転などは控えること

・房室ブロック(0.6%)
・心房細動(0.3%)
・心電図QT延長(0.2%)

※定期的に心調律を観察し、動悸や心拍数不整などが認められた場合等には、
心電図検査を実施する
→心房細動が認められた場合は投与を中止

薬理作用・作用機序

【ポイント】
活動電位の拡張期脱分極相における立ち上がり時間が遅延し、
心拍数を減少させる作用がある。
心筋の収縮能に影響することがない。

※β遮断薬やカルシウム拮抗薬は、心筋の収縮能を低下させるので
血行動態に影響がある。イバブラジンは、この影響が少ない。

※目標とする心拍数は50~60回/分

【詳細】
HCN(過分極活性化環状ヌクレオチド依存性)チャネル阻害薬である。
洞結節のペースメーカー電流Ifを構成するHCN4チャネルを阻害し、
活動電位の拡張期脱分極相における立ち上がり時間を遅延させ心拍数を減少させる。

※慢性心不全における心拍数をコントロールして予後を改善することが目的

※β遮断薬の最大忍容量が投与されても安静時心拍数が75回/分異常、
LVEFが35%以下の患者が対象となる。

※β遮断薬に忍容性がなく、禁忌の人にも投与可能

注意すべき併用禁忌の薬剤

イバブラジン(コララン®)は、CYP3Aで代謝されるため、CYP3A を阻害する薬剤は注意する必要がある。
特に、併用禁忌の薬剤で個人的に気を付けようと思っている薬剤は・・・

→「イトラコナゾール」、「クラリスロマイシン」、
「ベラパミル」、「ジルチアゼム」である。

※クラリスロマイシンは・・・ピロリ菌の除菌などにも使われるので
本当に注意しよう・・・

その他:粉砕・簡易懸濁法の可否について

粉砕(今のところ不可)

粉砕のデータはないため不可とのこと(今後調査必要)
→遮光の目的でフィルムコーティングされているとのこと
→メーカーとしては避けて欲しいとのこと

簡易懸濁法(可能)

2つの試験がメーカーによって行われている。

①:シリンジに2.5mgを3錠、5mgを1錠、7.5mgを1錠
それぞれ入れて、55℃の20mlの温湯を入れる。
5分静置→15往復横転→さらに5分静置→15往復横転→さらに5分静置
→15往復横転
(最初の10分だと少し残る感じだったので5分追加したとのこと)

②:シリンジに2.5mgを3錠、5mgを1錠、7.5mgを1錠
それぞれ入れて、55℃の20mlの温湯を入れる。
10分静置後に完全に懸濁されるまで振り混ぜた結果。
2~3分で懸濁されるとのこと
(こちらの方が時間が短くて済む)

※有効成分に関しての試験
70℃のお湯に3日間は有効成分が範囲内
(有効成分定量0.4%以下、類縁物質の増加は1.0%以下)

※通過試験:8Frのチューブを通過可能

参考資料
イバブラジン(コララン®)添付文書、インタビューフォーム
メーカー問い合わせ