ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の違い や特徴について触れる。
心不全治療において、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA系)を抑制することは生命予後を良くすることは知られている。
ただし、左室駆出率が低下した心不全の場合である。
左室駆出率が保たれた心不全では、予後改善に影響しない。
※エサキセレン(ミネブロ®)は、「高血圧」にしか適応がないため注意すること
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エサキセレノン(ミネブロ®)の特徴について
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の違い や特徴
薬理作用・作用機序
心不全や重症の高血圧の人では、
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン(RAA系)が活性化すると
末梢血管抵抗性を高めて、水分とナトリウムを体内に貯留してしまう。
(生命維持に必要な血流を維持しようとして起こっている)
行き過ぎてしまうと・・・
血管系の肥大化や線維化、動脈硬化を引き起こしたりする。
そのため、アルドステロン受容体であるミネラルコルチコイド受容体を阻害することで血圧を下げたり、心保護作用を示す(心不全の予後を改善する)
※ACE阻害薬とβ遮断薬を併用しても症状があるLVEF35 %未満の人には投与が推奨されている
ざっくりとした違い
スピロノラクトン(アルダクトン®)は、女性化乳房などの副作用に注意が必要
であった。
エプレレノン(セララ®)は、スピロノラクトンと比較してミネラルコルチコイド受容体への選択性が高く、女性化乳房などのホルモン系への影響が少ない。
共通の注意点
腎機能の低下、高カリウム血症には注意する必要がある。
特に、腎機能低下者、高齢者、ACE阻害薬・ARB服用中の患者など
スピロノラクトン(アルダクトン®)
ステロイド骨格を持っているため・・・
鉱質コルチコイド受容体だけでなくアンドロゲン受容体やプロゲステロン受容体にも作用する。
そのため、女性化乳房、乳房痛、月経異常などの内分泌異常の副作用が起こりやすい。
※用量依存的に起こる。
※女性化乳房の頻度:スピロノラクトン約10%、エプレレノン0.5%
非ステロイド型のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬
スピロノラクトンと比較するとアルドステロン受容体への選択性が高い。
そのため、女性化乳房が起きにくい。
また、利尿効果が弱く、血圧を下げる効果が大きい特徴がある。
薬剤としては、エプレレノン(セララ®)、エサキセレン(ミネブロ®)がある。
しかし、エサキセレノンとの違いは、いくつかある。
エプレレノン(セララ®)とエサキセレン(ミネブロ®)の違い
禁忌項目がエサキセレノンの方が少ない。
腎機能低下者にも比較的使いやすい。
【禁忌項目の違う部分】
「微量アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者」
「重度の肝機能障害」
「中等度以上の腎機能障害」
「イトラコナゾール、リトナビル及びネルフィナビルを投与中の患者」
【補足】
エサキセレノン(ミネブロ®)のインタビューフォームにて「微量アルブミン尿又は蛋白尿を伴う糖尿病患者」に関して下記のような記載がある。
「アルブミン尿を有する 2 型糖尿病を合併した高血圧症患者を対象とした試験において、RA 系阻害薬との併用下で低用量から漸増投与することにより降圧効果を示した」
【適応症の違い】
エサキセレノンは高血圧のみの適応なので注意
※エプレレノンとエサキセレノンは共に非ステロイド型のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬である。
※重度の腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)のある患者に対してはどちらも禁忌である。
参考資料
急性・慢性心不全診療ガイドライン、日本心不全学会
スピロノラクトン(アルダクトン®)添付文書、インタビューフォーム
エサキセレン(ミネブロ®)添付文書、インタビューフォーム
エプレレノン(セララ®) 添付文書、インタビューフォーム