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精神科 薬物動態・相互作用

ブロナンセリン (ロナセン®)の食後投与の理由

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ブロナンセリン (ロナセン®)の食後投与の理由について触れる。
別の記事でもまとめていたが、食事だけをピックアップして整理しておく。

ロナセン®の特徴はこちらを参照

ブロナンセリン (ロナセン®)の食後投与の理由

ご飯を食べていない「空腹時」だとブロナンセリンの吸収が落ちてしまう。
だいたいCmaxとAUCが2.5倍くらい違うので食事の影響は大きい。
適応症が「統合失調症」として販売されているが、そもそも統合失調症の人が3回食事をしっかり摂っているケースがどれだけあるだろうか。
ブロナンセリンは、通常は、1日2回の服用なので
単純に2回・・・食事をする必要がある。
食事の影響は考えず、効果は減ってもいいので「空腹時」、例えば・・・
「寝る前」などに服用する手もあるかもしれない。
ただ、そういった場合は、食事の影響を考えなくて良い経皮吸収製剤として販売されているロナセン®テープを使ってみてはどうだろうか。

薬剤師の対応としても食事の回数、量などを確認することは大切である。
もしも食事が摂れていない場合や
偏食の場合は、医師に相談してはどうだろうか

薬剤交付時の注意点

添付文書上の「薬剤交付時の注意点」にも記載されているので確認しておくと良い

「本剤の吸収は食事の影響を受けやすく、有効性及び安全性は食後投与により確認されているため、食後に服用するよう指導すること」

食後投与のデータ

「日本人健康成人男性に本剤 2 mgを朝食後30分に単回経口投与したときのCmax及び AUC0-12は、空腹時投与と比較して、それぞれ2.68倍及び2.69倍上昇し、本剤の薬物動態は食事の影響を受けることが示された。また、食後投与時の Tmax 及び平均滞留時間(MRT)は、空腹時投与に比べて有意に延長したが、消失速度定数(kel)に差は認められなかった。食後投与時の吸収量の上昇には、本剤の腸管内での溶解性の向上、食事による血流量の増加による初回通過効果の低下が関与する因子として考えられる。また、ブロナンセリンは主に胃からではなく腸から吸収されることから、摂食による胃内容物排泄時間の延長が吸収の遅延をもたらすと考えられる」

※結構、血中濃度が違うので知っておくと良い。

吸収部位・吸収率のデータ

胃から吸収されることはほとんどなく、ほぼ小腸から吸収される。

インタビューフォームからの引用
「ラットに[14C]標識ブロナンセリン2mg/kgを経口及び静脈内投与した時の放射能のAUC比から推定された消化管吸収率は84%であった。
In situ ループ法を用いてラット消化管各部位からの吸収を検討したところ、ブロナンセリンは胃を除く消化管全域から吸収され、その吸収率は80~98%であった。」

参考資料
ロナセン®添付文書、インタビューフォーム