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産科・婦人科

NSAIDs(妊婦を禁忌とする薬剤を除く)の「使用上の注意」の改訂

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シクロオキシゲナーゼ阻害作用を有するNSAIDs(妊婦を禁忌とする薬剤を除く)の「使用上の注意」の改訂について簡単に触れる。
2021年2月25日に独立行政法人医薬品医療機器総合機構より
「シクロオキシゲナーゼ阻害作用を有する NSAIDs(妊婦を禁忌とする薬剤を除く)の「使用上の注意」の改訂について」が出された。

NSAIDs (妊婦を禁忌とする薬剤を除く)の「使用上の注意」の改訂

概要

対症薬剤により記載が違う。今回は、錠剤だけでなく坐剤が外用剤にも下記のような記載がされるため確認すると良い。

・ケース①
「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項に、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)の妊婦への使用により、胎児の腎機能低下及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が認められている旨、使用する際には必要最小限の使用とし適宜羊水量を確認する旨の注意喚起を追記する。」

・ケース②
「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項に、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤、坐剤)の妊婦への使用により、胎児の腎機能低下及び尿量減少、それに伴う羊水過少症が認められている旨を追記する。」

※2つの違いは、「使用する際には必要最小限の使用とし適宜羊水量を確認する」の記載があるかどうかである。

改訂の理由

アメリカのFDAからの注意喚起が影響している。
FDAでは、特に妊娠20週から30週について述べられている。
ちなみに原因としては「シクロオキシゲナーゼⅡの阻害」が考えられている

根拠は下記の報告による

・ヒトの胎児の腎臓にシクロオキシゲナーゼⅡが発現していること
・早期分娩のリスクが高い妊婦において選択的シクロオキシゲナーゼⅡ阻害剤の服用で用量依存的に羊水が減少していること
・新生仔ウサギにおいて選択的シクロオキシゲナーゼⅡ阻害剤の服用で用量依存的に腎血流量と腎糸球体濾過量の低下が見られている

「NSAIDs の妊婦への投与例で認められた胎児の腎機能障害及び尿量低下、それに伴う羊水過少症に関するリスクに基づき、米国FDAにて、妊娠20~30週の妊婦に対する NSAIDs の処方は限定的にし、必要な場合にも、最小限の用量で可能な限り最短期間の処方とする旨の注意喚起を行うとの措置情報を受け、本邦における添付文書改訂の必要性及び措置範囲を検討した」

※日本で期間を設けていないのは、胎児の尿産生は妊娠8週から11週で始まっているなどの理由が挙げられている

記載の例

例えば、PL配合顆粒やピーエイ錠などでも改訂されているので注意

【PL配合顆粒の記載】
妊婦(12 週以内あるいは妊娠後期)又は妊娠している可能性のある女性には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。投与する際には,必要最小限にとどめ,適宜羊水量を確認するなど慎重に投与すること。[シクロオキシゲナーゼ阻害剤(経口剤,坐剤)を妊婦に使用し,胎児の腎機能障害及び尿量減少,それに伴う羊水過少症が起きたとの報告がある。また,サリチル酸製剤(アスピリン等)では動物試験(ラット)で催奇形作用が,ヒトで妊娠後期にアスピリンを投与された患者及びその新生児に出血異常があらわれたとの報告がある。]」

参考資料
NSAIDs(妊婦を禁忌とする薬剤を除く)の「使用上の注意」の改訂について
2021年2月25日 独立行政法人医薬品医療機器総合機構
Pediatr Develop Pathol. 2001; 4: 461-6、Kidney Int. 2002;61: 1210-9
J Obstet Gynaecol 2004; 24: 226–9
PL配合顆粒、添付文書