DESIGN-R2020 改訂のポイント
ガイドラインでは、深部損傷褥瘡(deep tissue injury : DTI)や臨界的定着(critical colonization)が取り上げられているが、DESIGN-Rには反映されていなかった。そこで2020年度改訂版には組み込まれている。
DESIGN-Rは、人によって「点数」が変わるのが普通である。ただ、何が大事かと言うと、同じ人が見た時に「悪化」しているのか「改善」しているのかなどを経時的に評価することで
現状の褥瘡の状態を把握するツールとして非常に優れている。
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①DESIGN-R2020改訂のポイント
大きなポイントは2つである。
深さの「D」の項目に「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」が、
炎症・感染の「I」の項目に「3C(臨界的定着疑い)」が追加されている。
深さの「D」の項目
下記の部分が追加となっている。
「深さ(Depth):DTIとU」
・DTI:深部損傷褥瘡疑い
・U:壊死組織で覆われ深さ判定が不能
※「D」の変更に伴い肉芽組織「G」も一部変更。
DTIの場合、g0とする。そのためg0の部分も変更となっている。
g0「創が治癒した場合、創の浅い場合、深部損傷褥瘡(DTI)の場合」
※DESIGN-R2020では、急性期褥瘡で深部組織の損傷が疑われる病態を「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」とみなしている
【補足:急性期褥瘡とは?】
日本褥瘡学会の定義を載せる。
「褥瘡が発生した直後は局所病態が不安定な時期であり、これを急性期と呼ぶ。時期は発症後おおむね1~3週間である。この間は褥瘡の状態は、発赤・紫斑・浮腫・水痘・びらん・浅い潰瘍などの多彩な病態が短時間的に表れることがある」
【深部損傷褥瘡はなぜ起こる?】
外部からの「外力」とそれに応える「応力」による生体のストレスから褥瘡が生じる。また、脂肪組織や筋肉は皮膚組織より虚血に弱いため見た目以上に内側の褥瘡が進むと考えられている。
高齢者より体格の良い人の術後などに見られることが多い
炎症・感染の「I」の項目
下記の部分が追加になっている
炎症/感染(inflammation/infection)
「臨界的定着疑い(創面にぬめりがあり、滲出液が多い。肉芽があれば浮腫性で脆弱」など)」
臨界的定着は、治癒遅延の原因となるので注意が必要である。
言葉が難しいが「定着」と「感染」の間に位置している状態である。ガイドラインによると「両者のバランスにより、定着よりも細菌数が多くなり感染へ移行しかけた状態」
中が空洞で感染移行しそう状態、エビデンス少ない。治癒阻害の1つであるバイオフィルムが存在し「ぬめり」が特徴としてある。スライム状の細胞外高分子である。また、炎症が続くと滲出液が多くなる。
→Agフィルムやゲーベンクリームなどに変更する
※感染褥瘡に準じた対応が大切である。結果として、進展を防ぎ治癒を促進する
参考資料
日本褥瘡学会用語集
改訂DESIGN-R2020・コンセンサスドキュメント