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腎臓関連

透析患者と鎮痛剤 ~頭痛薬として何を使う?~

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透析患者と鎮痛剤 の話をまとめる。
透析を受けている人は、頭痛が起こりやすい。血液透析中に起こって終了後72時間以内におさまる頭痛は、「透析頭痛」という。血液中のナトリウムやマグネシウムが原因と言われていて、マグネシウムを投与することもある。
そういう透析頭痛ではなく、透析を受けている人で「頭痛」や「筋緊張性頭痛」などが起こった場合何を飲めばいいのだろうか。
個人的に経験した症例では、腹膜透析の人で頭痛薬をアセトアミノフェン、ロキソプロフェン両方処方されたケースを見たことがある。疑義照会はもちろん必要と思われるが、どう使い分けるかなど確認しておくべきだろう。
実際、ないとは思うが、勘違いして両方を一度に飲む人もいるかもしれない。

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透析患者と鎮痛剤

何を使うのか?

基本的に、血液透析を受けている人であれば「アセトアミノフェン」と「NSAIDs」のどちらも使用することは出来る。ただし、まずは安全面から「アセトアミノフェン」を使うべきである。

結論として、筋緊張性頭痛の場合は、「アセトアミノフェン」や「NSAIDs」を使う。
→いずれも添付文書上、重篤な腎障害に禁忌となっている。

なぜ「アセトアミノフェン」を優先するのか・・・
例えば、透析患者にNSAIDsを使った場合、わずかに残っている腎機能の低下や消化管出血が起こりやすいからである。
→使う場合はリスクの説明をした方が良い。
このリスクを少しでも回避するためNSAIDsの中でもCOX-2選択性のNSAIDsを用いることもある。

※トラマールとアセトアミノフェンの合剤は、トラマールが腎代謝なので注意が必要。使いにくい。
※筋緊張性頭痛の予防には、アミトリプチリンが推奨されている(減量なし)

用量

【アセトアミノフェン(カロナール)】
長期投与以外は減量の必要はない。頓服の場合、300mgから1000mg使用する。
長期に使う場合は3分の1に減らしたりする。ロキソプロフェンよりは透析されやすい

【ロキソプロフェン(ロキソニン)】
透析患者で減量の必要はない。保存期CKDであれば、出来るだけ投与はしないこと(使う場合、減量の必要なし)。
蛋白結合率が高いので透析によって除去されにくい。

添付文書上の記載

いずれも禁忌項目に記載がある。ただ透析を受けている時点で腎機能自体は、ほぼ失われているため参考にならないとは思われる。

【アセトアミノフェン(カロナール)】
「重篤な腎障害のある患者[重篤な転帰をとるおそれがある。]」

【ロキソプロフェン(ロキソニン)】
「重篤な腎機能障害のある患者」

参考資料
慢性頭痛の診療ガイドライン作成委員会 編:慢性頭痛の診療ガイドライン2013
カロナール錠、添付文書、インタビューフォーム
ロキソニン錠、添付文書、インタビューフォーム