アマンタジン の特徴について触れる。
パーキンソン症候群に使う場合をメインにまとめる。
意外と使うケースは限られるので注意が必要である。
①アマンタジン (シンメトレル)の特徴
効能・効果
「パーキンソン症候群、脳梗塞後遺症に伴う意欲・自発性低下の改善、A型インフルエンザウイルス感染症」
用法・用量
【パーキンソン症候群に用いる場合】
「通常、成人にはアマンタジン塩酸塩として初期量1日100㎎を1~2回に分割経口投与し、1週間後に維持量として1日200㎎を2回に分割経口投与する。なお、症状、年齢に応じて適宜増減できるが、1日300㎎ 3回分割経口投与までとする」
【脳梗塞後遺症の場合】
「通常、成人にはアマンタジン塩酸塩として1日100~150㎎を2~ 3回に分割経口投与する。なお、症状、年齢に応じて適宜増減する。」
【A型インフルエンザウイルス感染症の場合】
「通常、成人にはアマンタジン塩酸塩として1日100㎎を1~ 2回に分割経口投与する。なお、症状、年齢に応じて適宜増減する。ただし、高齢者及び腎障害のある患者では投与量の上限を1日100㎎とすること。」
※個人的には、上の2つで使っている場合しか見たことがない
※1日1回で飲むこともあれば、3回で飲むこともある。何のために服用するのか本人や家族に認識の確認は必要と思われる。服薬指導の際も確認すべきである。最大用量などがあるので大切である。
※脳梗塞後遺症の場合は、12週間効果がなければ止める必要がある。
作用機序
実のところ詳しい機序は分かっていない部分が多い
ドパミンの合成や放出を増やすことで脳内での神経伝達を増強する。他にもドパミン再取り込み作用も抑制する。
その結果、ドパミン作動性ニューロン活性を高め、パーキンソン症状を改善する
他にもノルアドレナリンやセロトニンに影響を及ぼすことにより、意欲の低下や自発性低下に効果があるとされている。
腎障害の際の注意
アマンタジンは、ほとんどが未変化体として尿中に排泄される。そのため腎障害による蓄積により、意識障害(昏睡含む)、精神症状(幻覚、妄想、せん妄、錯乱等)、痙攣、ミオクロヌス等を起こすリスクが高まる。
【禁忌項目】
「透析を受けている人」
→透析によりほとんど除去されない
【腎機能ごとの投与間隔の目安】
添付文書上に投与間隔の目安が設定されている
(100mg/回)と仮定して書かれている。
・クレアチニンクリアランス(>75)→12時間ごと
・クレアチニンクリアランス(35~75)→1日ごと
・クレアチニンクリアランス(25~35)→2日ごと
・クレアチニンクリアランス(15~25)→3日ごと
※クレアチニンクリアランス(mL/min/1.73㎡)
※高齢者は、腎機能が落ちているので注意すること
用量を変更時の注意
【パーキンソン症候群又は脳梗塞後遺症に伴う意欲・自発性低下の改善に用いる場合】
重要な基本的に注意の記載
「本剤の投与を急に中止した場合、パーキンソン症状の悪化、悪性症候群、カタトニー(緊張病)、錯乱、失見当識、精神状態の悪化、せん妄があらわれることがあるので、本剤の投与を中止する場合には、徐々に減量すること」
「本剤増量により特に中枢神経系の副作用(睡眠障害、幻覚等)の発現頻度が高くなる傾向があるので注意すること」
※一気に中止するのは危険である。パーキンソン症状の悪化は元も子もないし、悪性症候群に関しては、アマンタジン中止後の高体温症の報告があり、因果関係はまだ不明。
※増量時は、精神的な副作用が増えることがあるので薬剤師としてもフォローは必要である。
②アマンタジン のパーキンソン症候群への効果
ガイドライン上では、なかなか使用する場面というか期間などが限られる。
ただし、アマンタジンに関してはエビデンスが少ないので処方医によっても見解が異なっていると思われる。
・早期のパーキンソン病に対する効果は、有効なこともあるが、効かないケースも多く、悪化する人もいる
・進行期のパーキンソン症状の変動に対する効果は、分かっていない
・ジスキネジアに対する効果は有効である
※ジスキネジアの場合
L-ドパ誘発性のジスキネジアに対して有効だが、投与が8か月を超えると、投与前のように戻るか悪化するケースがある。8か月までに別の方法での治療を検討した方が良い。効果が落ちてきても急に中止しないことが大切である。
参考資料
シンメトレル、添付文書、インタビューフォーム
エビデンス基づくCKD診療ガイドライン2009
パーキンソン治療ガイドライン