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マルファン症候群とロサルタン ~大動脈解離の予防が大切~

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マルファン症候群とロサルタン について簡単に整理する。
ARBは有効であるが、ACE阻害薬は効果がない理由も載せている。

マルファン症候群については下記の記事
マルファン症候群 について

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マルファン症候群とロサルタン

フィブリリンがTGF-β(トランスフォーミング増殖因子-β)の制御に関わっていることが分かっている。
TGF-β系の過剰シグナルにより組織の結合を弱めたり、変化をもたらすことが報告されている。
過剰シグナルが原因なので「TGF-β」を標的とした治療が注目され、この過剰シグナルを抑えるためにARBのロサルタンが使われるようになった。

※TGF-βはサイトカインの一種である

ロサルタンを服用する目的

マルファン症候群で 心臓の壁の部分の結合が弱くなってしまうと大動脈解離を起こすことがある。
致命的になるため、この大動脈解離などを予防することが目的である。

ロサルタンの作用機序

マルファン症候群の人では血液中のTGF-βの濃度が高い。ロサルタンは、これを抑える作用がある。

ロサルタンがアンジオテンシン受容体Ⅰ(ATⅠ)を阻害することでTGF-β活性を抑制するだけでなく、
アンジオテンシン受容体Ⅱ(ATⅡ)を活性化することでTGF-βシグナルに抑制的に作用するものと考えられている

もう少し詳しく説明すると
アンジオテンシンⅡによるATⅠへの作用がTGF-βを活性化し、ATⅡへの作用がTGF-βに抑制的に働く。
つまり、ARBによってATⅠが阻害されると、ATⅡへの作用が相対的に強まるため、TGF-βを抑えることが出来ると考えられる。

また、ACE阻害薬は、アンジオテンシンⅡ自体の産生を抑制するため、ATⅠとATⅡどちらの作用もブロックしてしまう。結果として血管の拡張を抑えることが出来ないと考えられている。

※小児においても血管の拡張抑制が報告されている
※2019年のLANCET誌電子版では、イルベサルタンも効果があるとの報告がされている

参考資料
Lindsay ME, Schepers D, Bolar NA, et al : Loss-of-function mutations in TGFB2 cause a syndromic presentation of thoracic aortic aneurysm. Nat Genet 2012 ; 44 :922-927 •

Matt P, Schoenhoff F, Habashi J, et al : Circulating transforming growth factor-beta in Marfan syndrome. Circulation 2009 ; 120 : 526-532

Habashi JP, Judge DP, Holm TM, et al : Losartan, an AT1 antagonist, prevents aortic aneurysm in a mouse model of Marfan syndrome. Science 2006 ; 312 : 117-121

Brooke BS, Habashi JP, Judge DP, et al : Angiotensin ⅡBlockade and Aortic-Root Dilatation in Marfan’s Syndrome. N Engl J Med 2008 ; 358 : 2787-2795

Noncanonical TGFβ signaling contributs to aortic aneurysm progression in Marfan syndrome mice.(Holm TM, et al. Science. 2011;332:358-61.

Angiotensin II type 2 receptor signaling attenuates aortic aneurysm in mice through ERK antagonism.(Habashi JP, et al. Science. 2011;332:361-5.

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