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筋萎縮性側索硬化症とモルヒネ ~緩和ケアの話~

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筋萎縮性側索硬化症とモルヒネ について整理する
筋萎縮性側索硬化症に対してモルヒネの保険適応が2011年から認められている。
「がん」ではない病態の緩和ケアの話である。
筋萎縮性側索硬化症(ALS:Amyotrophic lateral sclerosis)

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筋萎縮性側索硬化症とモルヒネ

基本的にモルヒネを用いる。がんとの大きな違いは少量であるためオピオイドローテーションのケースがほとんどないことだろう。ALSに対するオピオイドローテーションは是非勉強したい。今後分かれば追記していく。

筋萎縮性側索硬化症とは?

運動ニューロンが特異的に障害されて慢性的に進行する慢性疾患で神経の難病である。
一般的には、痛覚は維持されたまま四肢麻痺、球麻痺、呼吸筋麻痺が進んでいく
嚥下障害に対してはPEGも増設される。
根本治療がない現状であり、呼吸筋麻痺から嚥下困難、排痰困難、誤嚥性肺炎、呼吸苦を引き起こす。

※死因として肺炎も多いのが特徴

筋萎縮性側索硬化症に対する疼痛緩和

NSAIDsやアセトアミノフェンから開始し、状況によってオピオイドを開始する。
がんと同じように抗不安薬やプレガバリン(リリカ®)なども用いる

オピオイドの導入は、呼吸筋障害により呼吸苦が生じている状態やNSAIDsなどで効果が不十分な場合に考慮される。

モルヒネを使用する目的

「呼吸筋障害による呼吸苦」
「動かせない体の疼痛」
「口腔内分泌物の貯留」
「病態や死と隣り合わせの不安感」
などにオピオイドが有効と言われている。特にモルヒネが保険上認められているため使われる。

簡単に言うと、「痛み」や「呼吸苦」を楽にするために用いる。
ALSの患者の50%程度は「呼吸苦」を自覚すると言われている
オピオイドであるモルヒネを使って80%程度で呼吸苦が緩和されたという報告がある。

【使用上のポイント】

・副作用としては、便秘や嘔気などには注意は必要である
・1回量は2.5mgから10mg。3~4時間ごとの投与
・レスキュー的な使い方も考慮
・モルヒネ塩酸塩の1日量が10mg以上になる場合は、硫酸モルヒネである長時間作用のモルぺス®を使う。
→1日2回投与する。経管投与可能

※投与量は、がん性疼痛より少ない
※気管支を切開した人工呼吸器TPPVが最も呼吸苦を楽にするが、拒否する人も多い

※2011年9月26日社会保険診療報酬支払基金より「モルヒネ塩酸塩およびモルヒネ硫酸塩をALSに処方した場合」審査上認めるされた。

調剤の例

モルヒネ原末を乳糖で10倍散にする。
その後、処方量に合わせて秤量し、一包あたりの量が0.3gか0.5gになるように乳糖で調整。

※私が働く地域は、地方都市であるがモルヒネ原末がどの医薬品卸も在庫がないため、1週間ほど入荷にかかってしまう。これが非常に困る。初めて導入する場合は、かなり焦るので注意が必要である。

参考資料
2011年9月26日社会保険診療報酬支払基金審査情報提供事例
筋萎縮性側索硬化症ガイドライン2013年
O’Brien T, Kelly M, and Saunders C. Motor neuron disease : A hospice perspective. Br Med. J. 1992; 304: 471-473
荻野美恵子.緩和ケアにおけるモルヒネの使用は、EBM神経疾患の治療, 中外医学社,東京,2009;p336-340
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