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糖尿病・糖尿病治療薬

エキセンジン-4とGLP-1受容体作動薬 について

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エキセンジン-4とGLP-1受容体作動薬 について簡単にまとめる。
マニアックかもしれないが、個人的に薬が開発された経緯など含めて面白いと思った。
動物のタンパク質から医薬品になるケースは少なくない。

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エキセンジン-4とGLP-1受容体作動薬

エキセンジン-4とは?

エキセンジン-4(Exendin-4)はアメリカオオトカゲ(Gila monsterlizard)の唾液腺に存在するグルカゴンに類似したペプチドのことであり、1992年に発見された。エキセンジン-4は39アミノ酸で構成されている。エキセンジン-4は、GLP-1とアミノ酸配列で53 %の相同性を持っている。
膵β細胞保護作用、心筋梗塞巣縮小効果、神経変性障害抑制作用などの様々な臓器保護作用があると注目されている。

※アメリカオオトカゲは砂漠に生息しており、食事が少ない。そのため、インスリン分泌が日常的に必要ない。
食事したときだけ唾液に含まれるエキセンジン‐4が作用する仕組みになっている。
インスリンが不用意に出てしまうと低血糖になってしまうため進化の過程でそうなったと思うとすごい・・・

医薬品になぜ応用された?

エキセンジン‐4は、N端から2番目のアミノ酸(DPP-4の作用部位)がグリシン(GLP-1はアラニン)であるためにDPP-4抵抗性がある。さらに、皮下注射後の半減期が長いのが特徴である。
GLP-1よりもエキセンジン-4のほうがGLP-1受容体親和性は強くアゴニストとして作用すると報告されている。
その特徴を活かして開発された合成エキセンジン‐4がエクセナチド(バイエッタ®)である。

【ポイント】
• DPP-4作用部位がアミノ酸置換(Ala→Gly)されているためDPP-4に抵抗性がある
• GLP-1受容体に対してGLP-1よりも親和性がある

エキセンジン-4関連の製剤/GLP-1受容体作動薬

同じようなエキセンジン‐4由来のGLP‐1製剤でも違いがあるので知っておくとよい。
今回は「用法」と「インスリンの併用可否」について載せている

【1日2回製剤】

エクセナチド(バイエッタ®)

「通常、成人には、エキセナチドとして、1回5µgを1日2回朝夕食前に皮下注射する。投与開始から1ヵ月以上の経過観察後、患者の状態に応じて1回10µg、1日2回投与に増量できる」
「本剤の投与は原則として朝夕食前60分以内に行い、食後の投与は行わないこと。」

「インスリン製剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤又はジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤との併用については、検討が行われていない」

【1日1回製剤】

リキシセナチド(リキスミア®)

「通常、成人には、リキシセナチドとして、20μgを1日1回朝食前に皮下注射する。ただし、1日1回10μgから開始し、1週間以上投与した後1日1回15μgに増量し、1週間以上投与した後1日1回20μgに増量する。なお、患者の状態に応じて適宜増減するが、1日20μgを超えないこと。」
「本剤の投与は朝食前1時間以内に行い、食後の投与は行わないこと。」

※特徴として、基礎インスリン製剤、速効型インスリン製剤との併用が認められている。
※食事の1時間前に基礎インスリン製剤と一緒に打つことも可能

【週1回製剤】

エキセナチド(ビデュリオン®)
「通常、成人には、エキセナチドとして、2mgを週に1回、皮下注射する。」
「インスリン製剤、速効型インスリン分泌促進剤、α-グルコシダーゼ阻害剤又はジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤との併用については、検討が行われていない」

参考資料
バイエッタ®添付文書、インタビューフォーム
リキスミア®添付文書、インタビューフォーム
ビデュリオン®添付文書、インタビューフォーム