多発性嚢胞腎 について簡単に整理する
健康診断や人間ドックで見つかることが多い病気である。
画僧検査による早期発見が重要である。腹部超音波検査、腹部CT、腹部MRIなどで診断される
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多発性嚢胞腎 について
多発性嚢胞腎(polycystic kidney disease:PKD)は、
多発する嚢胞による進行性腎障害を主体として、多臓器にわたり様々な合併症を生じる遺伝性の疾患のこと
遺伝性ということで・・・下の2つがある
・常染色体優性多発性嚢胞腎(autosomal dominant polycystic kidney disease: ADPKD)
・常染色体劣性多発性嚢胞腎(autosomal recessive polycystic kidney disease: ARPKD)
何が問題となるのか?
2019年の日本透析医学会によると
1つの問題点として、透析導入患者の原疾患の第4位だという事である。
新規の透析導入患者4万人の中の3.6%であるが、結構多い印象・・・
ちなみに、第1位:糖尿病性腎症、第2位慢性糸球体腎炎、第3位腎硬化症となっている
常染色体優性多発性嚢胞腎の特徴
両側の腎臓に多数の嚢胞が生じ、増大する。進行性に腎機能が低下し、60歳までに約半数が末期腎不全になってしまう。新規患者の4分の1は、家族歴がない状態で発見される。
30歳から40歳代までは無症状であることが多い。
【合併症】
肝嚢胞、腎性高血圧、脳動脈瘤、嚢胞感染、尿路結石など
※高血圧は、50%~80%くらいの人が合併する
※肝臓は、腎臓の次に嚢胞が出来やすい。肝嚢胞は、80%くらいの人に合併する
※嚢胞の感染は、30%~50%の人に見られて注意が必要である。主に膀胱炎を起こした細菌が尿管に入って、腎臓に到達して嚢胞内で増殖すると考えられている
※尿路結石は、男性21%、女性13%ぐらいに起こる
【自覚症状】
腰痛、食事摂取量の低下
※腰の場所であるが、腎臓からの痛み
【有病率】
1000人~4000人に1人
常染色体劣性多発性嚢胞腎 の特徴
両側の腎臓に多数の嚢胞が生じ、増大する。 先ほどの常染色体優性多発性嚢胞腎との違いは、新生児期から小児期に症状が出てくるところである。その後末期腎不全になる。
【合併症】
肺低形成、腎性高血圧、肝線維症、食道静脈瘤、細菌性胆管炎など
【有病率】
10000~40000人に1人
多発性嚢胞腎 の治療について
詳しくは、別記事で簡単にまとめる
進行を抑制する治療
・バソプレシンV2受容体拮抗薬トルバプタン
・血圧に対する治療
・水分摂取を勧める
・タンパク質を制限する(食事)
・カロリーを制限する(食事)
合併症の対策
・嚢胞感染→抗菌薬
・疼痛→鎮痛剤
・嚢胞感染→トラネキサム酸
※末期腎不全の場合、透析や腎移植
※脳動脈瘤に対しては画僧検査を定期的に行う
参考資料
一般社団法人 日本透析医学会 わが国の慢性透析療法の現況(2019年12月31日現在)
多発性嚢胞腎PKD診療ガイドライン2020