ステロイドと骨粗鬆症 について簡単に整理する。ステロイド性骨粗鬆症の事であるがガイドラインをおさらいしてみよう。
ステロイドと骨粗鬆症
ステロイド性骨粗鬆症は、続発性骨粗鬆症に分類される。
続発性骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症が起こる流れは、下記のようなイメージである。
骨吸収と骨形成の平衡状態の破綻
↓
骨量減少と酸化ストレスの蓄積
↓
骨質の劣化
遺伝的な素因、生活習慣、閉経、加齢以外に特定の原因が認められる場合を「続発性骨粗鬆症」という。
それ以外を原発性骨粗鬆症という。
つまり、薬物が原因である骨粗鬆症は、続発性骨粗鬆症ということになる。
原因薬物の例
・ステロイド
・ワーファリン
・選択式セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
・メトトレキサート
・ヘパリン
など
ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン2014年改訂版での推奨度
推奨度A:第一選択薬として推奨する薬剤
推奨度B:第一選択薬が禁忌などで使用できない、早期不耐用である、あるいは、第一選択薬の効果が不十分であるときの代替薬として使用する
推奨度C:現在のところ推奨するだけの有効性に関するデータが不足している
【ビスホスホネート製剤】
・アレンドロネート(ボナロン、フォサマック):A
・リセドロネート(アクトネル、ベネット):A
・イバンドロネート(ボンビバ):B
・エチドロネート(ダオドロネル):C
・ミノドロネート(ボノテオ、リカルボン):C
【活性型ビタミンD3製剤】
・アルファカルシドール(アルファロール):B
・カルシトリオール(ロカルトロール):B
・エルデカルシトール(エディロール):C
【ヒト副甲状腺ホルモン(1-34)】
・遺伝子組み換えテリパラチド(フォルテオ):B
・テリパラチド酢酸塩(テリボン):C
【ビタミンK2製剤】
メナテトレノン(ケイツー、グラケー):C
【選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)】
・ラロキシフェン(エビスタ):C
・バゼドキシフェン(ビビアント):C
【ヒト型抗RANKLモノクローナル抗体】
・デノスマブ(プラリア):C
ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療のアルゴリズム
経口ステロイドを3か月以上使用中あるいは使用予定
↓
一般的指導
※一般的指導:ライフスタイルの改善、食事栄養指導、運動療法
↓
個々の骨折危険因子をスコアで評価
(既存骨折、年齢、ステロイド投与量、骨密度)
↓
【スコアが3以上】
薬物治療を行う
・第一選択薬:アレンドロネート、リセドロネート
・代替え治療薬:遺伝子組み換えテリパラチド、イバンドロネート、アルファカルシドール、カルシトリオール
【スコアが3未満】
経過観察を行う
スコアを用いた定期的な骨折リスクの評価をやる。
胸腰椎単純X線撮影、骨密度測定を6か月から1年ごとに行う
【骨折危険因子スコア】
・既存骨折(なし:スコア0、あり:スコア7)
・年齢(50歳未満:スコア0、50歳以上65歳未満:スコア2、65歳以上:スコア4)
・ステロイド投与量
(プレドニゾロン換算mg/日、5mg未満:スコア0、5mg以上7.5mg未満:スコア1、7.5mg以上:スコア4)
・腰椎骨密度(%YAM)、(80以上:スコア0、70以上80未満:スコア2、70未満:スコア4)
※ステロイドを3か月使う予定であれば、治療を考慮する必要があるので知っておくとよい
参考資料
ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン2014年改訂版