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検査値

亜鉛欠乏症と低亜鉛血症の違い について

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亜鉛欠乏症と低亜鉛血症の違い について簡単に触れる。サプリメントとしても「亜鉛」は多く販売されている。

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亜鉛欠乏症と低亜鉛血症の違い

意外と同じと勘違いしている人もいると思うので整理する。
検査値の血清亜鉛値だけを見ても亜鉛欠乏症の確定診断にはならないので知っておくと良い。

亜鉛の基準値

血清亜鉛の基準値は80~130μg/dL

亜鉛欠乏の原因

以前も記事でまとめたことがあるが、簡単におさえらい。
乳幼児、小児→摂取量不足、吸収障害など
※母親が過度のダイエットなどを行うと母乳中の亜鉛が少なくなることがある
※乳幼児などで急に成長する場合、母乳では亜鉛の量が足りなくなることがある

成人→摂取量不足、薬剤摂取、糖尿病・肝疾患などの病気
※高齢者などで動物性のタンパク質をあまり摂らない人は注意が必要。亜鉛は、動物性タンパク質に多く含まれる。
※コーヒーやオレンジジュースなどを飲みすぎる人は注意すること。これらは亜鉛の吸収を妨げる

【病気の具体例】
慢性肝炎、肝硬変、肝性脳症、慢性腎臓病、腎不全、透析、糖尿病、クローン病、潰瘍性大腸炎、リウマチなど

※尿や透析液から亜鉛は排泄されてしまう
※低アルブミン血症では、排泄が多くなるので血清亜鉛は低くなる。そのため、肝疾患は注意である
※過度のスポーツによる発汗でも亜鉛は失われる

亜鉛欠乏症の診断基準

  1. 下記の症状と検査結果のうち1項目以上を満たしている

    1)症状(皮膚炎、口内炎、脱毛症、褥瘡、食欲低下、発達障害(小児の体重増加不良、低身長)、性腺機能不全、易感染性、味覚障害、貧血、不妊症等)があらわれている。

    2)血液検査の血清アルカリホスファターゼ値(ALP)が低い

    ※肝疾患、骨粗しょう症、慢性腎不全、糖尿病、うっ血性心不全などでは亜鉛欠乏であっても低値を示さないことがある。
  2. 上記の症状の原因となるほかの病気が見あたらない、否定される
  3. 血清亜鉛値が60µg/dL未満
  4. 亜鉛を補充することにより症状が良くなる

⇒1~4すべてを満たす状態を亜鉛欠乏症と言う

※3の血清亜鉛値の部分が、60~80μg/dLの場合、「潜在性亜鉛欠乏症」と診断される。

低亜鉛血症

低亜鉛血症は、「血清亜鉛値」が低くなっていて、体の中の亜鉛が不足した状態 (80µg/dL未満) のこと。
基準値より亜鉛が低ければ低亜鉛血症なのである。自覚症状や臨床上の症状、数値などは関係ない。
つまり、低亜鉛血症の中に「亜鉛欠乏症」と「潜在性亜鉛欠乏症」が含まれる。

参考資料
亜鉛欠乏症の診療指針2018 日本臨床栄養学会