メルカゾールと無顆粒球症 について簡単に整理する。
メルカゾールの成分は、チアマゾールである。
今回は、「無顆粒球症」にスポットを当ててまとめる。
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メルカゾールと無顆粒球症
・服用開始2か月は特に注意が必要
・毎日服薬する大切さ、2週間毎に受診する必要性を指導すること
無顆粒球症とは?
血液中の血球成分である顆粒球が減少していき、ほとんどなくなってしまう症状である。
顆粒球は主に白血球を指す。
白血球が減少してしまうので細菌などによる感染症にかかりやすくなる。
場合によっては、肺炎や敗血症などを引き起こし命の危険があるため注意が必要である。
※今回のテーマでは、チアマゾール(メルカゾール)の副作用ということになる。
起こりやすい期間や頻度
チアマゾール(メルカゾール)を服用始めて2か月以内が起こりやすい。
「無顆粒球症」や「白血球減少症」の発現期間としては、起こした人の8割が服薬開始の2か月以内である。
残りの2割は2か月以降に起こっているので注意する必要はあるのだが・・・
全体の頻度としては、1000人服薬して3人程度に起こってしまう。
そのため、添付文書にも下記の記載がある。
【警告の抜粋】
「重篤な無顆粒球症が主に投与開始後2ヶ月以内に発現し、死亡に至った症例も報告されている。少なくとも投与開始後2ヶ月間は、原則として2週に1回、それ以降も定期的に白血球分画を含めた血液検査を実施し、顆粒球の減少傾向等の異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、一度投与を中止して投与を再開する場合にも同様に注意すること。」
「少なくとも投与開始後2ヶ月間は原則として2週に1回、定期的な血液検査を行う必要があるので、通院すること」
※2週間ごとの検査なので、初めてメルカゾールが処方されて1か月処方だったら注意。
※服薬指導の際にも、飲み始めは2週間毎に受診するように指導する必要がある。
※無顆粒球症は、用量依存的に起こりやすくなる
※何らかの理由で服薬を中止しており、再開する場合は、再度血液検査が必要である。
また、飲んだり飲まなかったりだった場合は、飲み始めから2か月以上経っても副作用のリスクは高いと考えられる。
初期症状
風邪のような症状が特徴的である。
・喉の痛み
・全身の倦怠感
・発熱(38℃以上の熱)
このような症状があれば、主治医に連絡か受診すること
対策
血液検査で無顆粒球症が分かった場合は、服薬を中止する。
入院するケースもあり、顆粒球を回復させたり、感染を予防する目的がある。
服薬を再開する場合もあるが、アイソトープ療法や外科治療を行う。
参考資料
メルカゾール、添付文書、インタビューフォーム