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コリン作動性クリーゼ とウブレチドについて

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ウブレチドとコリン作動性クリーゼ について簡単に整理する。
添付文書の「警告」の箇所にも記載されているので知っておく必要がある。

コリン作動性クリーゼ とウブレチドについて

・服薬開始2週間は特に注意が必要
・60歳以上は起こりやすい
・初期症状が認められたらウブレチドを中止すること

コリン作動性クリーゼとは?

コリンエステラーゼ阻害薬を服用しているときに起こる「呼吸困難」を伴う「アセチルコリン」過剰状態の急激な悪化とされ、人工呼吸を要する状態。

コリン作動性クリーゼ とウブレチド

鳥居製薬の集計結果によると、2006年4月から2020年12月に報告されたコリン作動性クリーゼの症例は242例である。
その解析によると下記のことが分かっている。

・ほとんど60歳以上が占めている(242例の93%)
・投与開始2週間の発現が多い(全体の40%弱)
→もちろん、長期投与において発現する場合も報告されている。3年以上経ってから発現する症例報告もある。

※ジスチグミン(ウブレチド)の血中濃度が定常状態になるまで約2週間かかる。そのため、服用開始して2週間は注意が必要である。

初期症状

ウブレチド服用中に「初期症状」が発生したら服薬を中止する必要がある。そのため、服薬指導において「初期症状」を伝えておくことは、とても大切である。
初期症状として多いのは消化器症状である。その他、発汗や呼吸器症状などが起こる。
初期症状としては下記の症状が多く報告されている。
・下痢
・唾液分泌過多
・悪心・嘔吐
・腹痛
・気道分泌過多
・発汗
・徐脈
・呼吸困難
・縮瞳

【添付文書からの引用:警告(一部)】

「本剤の投与により意識障害を伴う重篤なコリン作動性クリーゼを発現し、致命的な転帰をたどる例が報告されているので、投与に際しては下記の点に注意し、医師の厳重な監督下、患者の状態を十分観察すること」

「1.本剤投与中にコリン作動性クリーゼの徴候(初期症状:悪心・嘔吐、腹痛、下痢、唾液分泌過多、気道分泌過多、発汗、徐脈、縮瞳、呼吸困難等、臨床検査:血清コリンエステラーゼ低下)が認められた場合には、直ちに投与を中止すること。

2.コリン作動性クリーゼがあらわれた場合は、アトロピン硫酸塩水和物0.5~1mg(患者の症状に合わせて適宜増量)を静脈内投与する。また、呼吸不全に至ることもあるので、その場合は気道を確保し、人工換気を考慮すること。

3.本剤の投与に際しては、副作用の発現の可能性について患者又はそれに代わる適切な者に十分理解させ、下記のコリン作動性クリーゼの初期症状が認められた場合には服用を中止するとともに直ちに医師に連絡し、指示を仰ぐよう注意を与えること。
悪心・嘔吐、腹痛、下痢、唾液分泌過多、気道分泌過多、発汗、徐脈、縮瞳、呼吸困難」

※他にも「重要な基本的注意」や「重大な副作用」の項にも詳しく記載されている。もちろん「2週間以内」というのも載っている。

対策

「初期症状」が発現した場合、とりあえずウブレチドの服用は中止すること。
そのあとは、入院となり症状によって処置は異なる。
入院中は、拮抗薬であるアトロピンの皮下注射が使われる。

参考資料
日本病院薬剤師会 編:重大な副作用回避のための服薬指導情報集②,じほう p76, 1998
鳥居製薬問い合わせ
ウブレチド、添付文書、インタビューフォーム