次亜塩素酸ナトリウム の効果と特徴について簡単に整理する。消毒薬として幅広く使う。
今さらかもしれないが忘れがちな内容である。
戦時中は、銃創感染の消毒にも使われていた。
次亜塩素酸ナトリウム:Sodium Hypochlorite
次亜塩素酸ナトリウム の効果と特徴
多くの微生物に有効である。扱いに注意が必要
作用機序・薬理作用
菌やウイルス自体の有機成分や酵素蛋白を酸化分解する作用がある。具体的には、
水溶液の中で(水が混ざると)、下記のような反応が起こる。
次亜塩素酸ナトリウム + 水 ⇄ 水酸化ナトリウム + 次亜塩素酸
この「次亜塩素酸」が細胞の細胞膜に浸透し、酵素を分解することで殺菌する。
※アルカリ性の状態では、安定性がある。しかし、殺菌効果は弱い
※酸性の状態では、不安定であり、殺菌効果が高い
※一般的に消毒薬として使う場合は、中性から弱アルカリ性にする。
※血液などの有機物や石鹸と混ざると効果が落ちてしますので注意
適応菌種
非常に殺菌スペクトルが広いのが特徴である。
・ほとんどの細菌を殺菌する。グラム陽性菌、グラム陰性菌など。
・結核菌にも効く
・エンベロープを有しないウイルスに対して不活化作用がある。
B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、エイズウイルスなど
・芽胞菌に対して効果を発揮するためには、時間がかかる。効かないわけではない
一般的な用途
・哺乳瓶の消毒
・医療器具の消毒
・経管栄養剤投与セットの消毒
・呼吸関連の蛇管(プラスチック器材)の消毒
・医療器具以外の器具の消毒(食器、まな板)
・部屋、お手洗い、浴室の消毒
・排泄物の消毒
・リネンの消毒
※毛、絹、ナイロン、ポリウレタンには、不適である
混ぜるな危険の話
酸性状態になると「塩素ガス」を生じる
そのため、酸性の洗剤や漂白剤と混ぜてしまうと危険である。
塩素ガスは呼吸器を刺激することで呼吸困難などの塩素中毒を引き起こす
その他の特徴や注意
・そのまま置いていても量が減る。光が当たるとか、温度が上がると分解されやすくなるので減ってしまう
→透明な容器には保管しない
・手が荒れてしまうので直接触らないこと。ビニール手袋をすべきである。
・脱色作用がある。漂白のために使うこともある
・エタノールと混ざると熱を出す
・金属腐食作用がある。銅を黒くする
・プラスチックやゴムを劣化させる
・幼児の経口致死量:経口15~30mL(5%液)
→本当に注意する必要がある。
・空気より重い。つまり、床の方に停滞する
手に入りやすい商品
・ミルトン
・ミルクポン
・ピュリファンP
・ハイター、キッチンハイター
(ハイターという名前でも次亜塩素酸ナトリウムが入っていないことがあるので注意)
など