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検査値

平均肺動脈圧 (mPAP)と肺高血圧について

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平均肺動脈圧 と肺高血圧症について簡単に触れる。あまり触れない検査値だと思うが知っておくと服薬指導の際に役に立つかもしれない。

平均肺動脈圧 (mPAP)について

肺高血圧症の診断でmPAPは、診断基準の検査所見として「安静時肺動脈平均圧で25mmHg以上」というのが設定されている

肺動脈圧と平均肺動脈圧

肺動脈圧( pulmonary artery pressure:PAP )とは、肺動脈の血圧の事である。
平均肺動脈圧(mPAP)は、肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)の診断に使われる。
肺高血圧は肺動脈圧(pulmonary artery pressure:PAP)が正常より高い状態のことである。

mPAP:mean PAP

平均肺動脈圧の基準値

基準値は、10~20mmHg。
平均肺動脈圧(mPAP)が正常な人は、平均圧で 15mmHg程度である。
肺動脈圧(PAP)の評価には平均値(mPAP)が使われる。

※肺高血圧症の診断でmPAPは、診断基準の検査所見として「安静時肺動脈平均圧で25mmHg以上」というのが設定されている。
※平均肺動脈圧(mean pulmonary arterial pressure: mPAP)≥25mmHg(安静臥位)
※新生児は、生理的に肺高血圧の状態なので、この定義は、生後3か月以上の人に使う

【補足】
国際的な話になるが、2018年の国際会議において、肺高血圧の基準を20mmHgに引き下げようということが提唱されている。
つまり、20mmHgを越えたら肺高血圧の状態と判断する。20mmHgを越えた場合に早期治療を開始するか、経過観察が必要と言われてきている。今後日本のガイドラインも変わっていくかもしれない。

※ 肺疾患に伴う肺高血圧症診療ガイドライン2018 には、反映されていない

治療目標値

肺高血圧症における治療目標値として、mPAPを40mmHg前後以下に下げることで、10年間は右心不全死を回避できると報告されている。

【補足】
肺高血圧は何がいけないのか・・・?ざっくり説明すると

肺高血圧の状態が続くと・・・

心臓が血液の流れが悪くならないように、無理に頑張ってしまう

肺動脈圧が上昇する

肺動脈の壁自体に高い圧がかかってしまう

肺動脈が傷んだり、肺動脈が狭く硬くなる

心臓の右心室に負担がかり、右心不全を引き起こす。

その他

mPAPは、後負荷を考える際に使われる「肺血管抵抗」を算出するのに必要な値である。右心室に対する抵抗あるいは後負荷は、肺血管抵抗を計算することで求めることが出来る。

参考資料
石黒みどり,他:特発性肺動脈性肺高血圧症の予後改善のために平均肺動脈圧が最もよい治療目標となる,第63回心臓病学会総会,2015
難病情報センター 肺動脈性肺高血圧症(指定難病86)
肺疾患に伴う肺高血圧症診療ガイドライン2018