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呼吸器疾患

リフヌア 錠(ゲーファピキサント)の特徴について

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リフヌア 錠(ゲーファピキサント)の特徴について簡単に整理する。
ざっくり言うと、慢性的な咳に使われる薬です。困った副作用もあるため必要な時に正しく使う必要がある。
世界初のP2X3受容体拮抗薬である。

リフヌア 錠(ゲーファピキサント)の特徴について

・末梢で作用する非麻薬性の鎮咳薬である
・味覚に関する副作用に注意すること

効能・効果

「難治性の慢性咳嗽(がいそう)」

※8週間以上の咳の場合に使う薬である。

【咳の持続期間による分類】
・3週間未満→急性咳嗽
・3週間以上8週間未満→蔓延性咳嗽
・8週間以上→慢性咳嗽

用法・用量

「通常、成人にはゲーファピキサントとして1回45mgを1日2回経口投与する。」

【用法及び用量に関連する注意】
「重度腎機能障害(eGFR 30mL/min/1.73m2未満)で透析を必要としない患者には、本剤45mgを1日1回投与すること。」

重要な基本的注意

「本剤による咳嗽の治療は原因療法ではなく対症療法であることから、漫然と投与しないこと。」

※リフヌア 錠(ゲーファピキサント)は対症療法であることに注意する

【咳の原因となりうる病態】

・せき喘息
・胃食道逆流症(GERD)
・アトピー咳嗽
・慢性的な咽頭アレルギー
・副鼻腔気管支症候群
・感染後咳嗽
その他、薬の副作用なども可能性としてある。

※先ほど期間での分類の話をしたが、急性咳嗽の場合は、感染症のことが多く、8週間を超えた咳は感染症の場合は少ないことが分かっている。

効果発現までの時間

咳を抑える薬である以上どれくらいで効果が出るか気になるところ。
平均値9.1日、中央値2日くらいである。

※咳に対する効果の評価は、非常に難しく差が出てしまうらしい。
臨床成績の主要評価項目を見ると「幾何平均」で比較した場合、24週間服用したら63%程度改善したと報告されている。

薬理作用・作用機序

P2X3受容体拮抗薬である。
気道の迷走神経のC線維上にみられるP2X3受容体を介した細胞外ATPシグナル伝達の遮断により、感覚神経の活性化及び咳嗽を抑える。
※ATPは炎症が起こると気道粘膜細胞から放出され、C繊維を活性化して咳の反射を誘発する。

細かいポイントとしては、末梢に作用して咳を抑える薬というのが画期的なところである。
コデインのような中枢系に作用する薬剤とは違うので覚えておくとよい。

【補足】
・ P2X3 受容体は、気道の迷走神経のC繊維上にみられるATP依存性イオンチャネル
・C繊維は、炎症や化学刺激物質に反応して活性化される

注意すべき副作用

「味覚関連の副作用」が非常に多いので注意すること。発現率が高いので仕事柄(例:料理人)、味覚異常が出ると・・・生活に支障をきたす人には使いづらい面がある。
「味覚関連の副作用」は、用量依存的で服用開始から9日以内に生じやすい。また、発現率は高いが、多くは中止すると回復する。

服用開始後のフォローが大切である
味覚を含めて気になる場合は、連絡をしてもらうように伝えておくことが大事である。

【インタビューフォームから引用】
「味覚不全(40.4%)、味覚消失、味覚減退、味覚障害、悪心、口内乾燥、下痢、上腹部痛、消化不良、口の感覚鈍麻、流涎過多、口の錯感覚、上気道感染、食欲減退、浮動性めまい、咳嗽、口腔咽頭痛が報告されている。味覚関連の副作用(63.1%)の大多数は、投与開始後 9 日以内に発現し、軽度又は中等度であり、投与中又は投与中止により改善した。また、味覚関連の副作用は曝露量依存的に増加する傾向が認められている」

【味覚症状における訴えの例】
・甘味、塩味、酸味、苦味を感じにくい
・食事が美味しくない
・食べ物の好みが変わった
・金属味や渋みなど嫌な味がする
・味のしないところがある
・口が渇く
・焼きそばの味がしない

【考えられている機序】
リフヌア 錠(ゲーファピキサント)が、舌のところにも存在するP2X2/3受容体というヘテロ三量体にも作用するため。
味覚のシグナルが減退すると考えらえれている。

その他の特徴

・腎排泄である
・末梢で作用するタイプの咳嗽治療薬
・粉砕データなし
・簡易懸濁データなし
・一包化OK
・レセプトのコメントに慢性咳嗽の理由を入れること

参考資料
リフヌア®添付文書、インタビューフォーム
日本呼吸器学会、咳嗽・喀痰の診療ガイドライン2019.p.V.メディカルレビュー社