" />

褥瘡

フィブラストスプレー の使い方や特徴について

スポンサーリンク

フィブラストスプレー の使い方や特徴について簡単に整理する。
ちょっとした小ネタも入れながらまとめる。
世界初のヒトbFGF(塩基性繊維芽細胞増殖因子)製剤である。
トラフェルミンの製剤としては、他に歯科領域で使われるリグロス歯科用液キットが販売されている。

フィブラストスプレー の使い方や特徴について

褥瘡、火傷、潰瘍など幅広く使えるのが良い。

効能・効果

「褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍)」

※床ずれや火傷に使える。他には、糖尿病による下肢の潰瘍に使ったりする。
メーカーが掲示している例として、車いすによる踵の潰瘍なんかも綺麗にするので試す価値はある。

※褥瘡に使う場合:壊死期(黄色期)肉芽形成期(赤色期)上皮形成期(白色期)など幅広く使える。
※黄色期で使う場合は、デブリドマンを施した後に行うこと

用法・用量

「添付溶解液1mL当たりトラフェルミン(遺伝子組換え)として100μgを用時溶解し、潰瘍面を清拭後、本剤専用の噴霧器を用い、1日1回、潰瘍の最大径が6cm以内の場合は、潰瘍面から約5cm離して5噴霧(トラフェルミン(遺伝子組換え)として30μg)する。潰瘍の最大径が6cmを超える場合は、薬剤が同一潰瘍面に5噴霧されるよう、潰瘍面から約5cm離して同様の操作を繰り返す。」

【使い方のポイント整理】
※1日1回の使用
※5噴霧(潰瘍の最大径が6㎝を超える場合は、全体に5噴霧されるようにする)
※噴霧後に30秒してから被覆材などで覆う。
(フィブラストスプレー噴霧後、30 秒経ってからにクトシン軟膏などを塗ってガーゼ、フィルム材、ドレッシング剤で覆うイメージ)

※冷所保存(冷蔵庫から出してすぐに使用してOK)
※溶かしたあとは、2週間以内に使用
(フィブラストスプレー500が2週間分、フィブラストスプレー250が1週間分)

※5回以上噴霧しても害はないが、無駄になるので注意

薬理作用・作用機序

血管内皮細胞および線維芽細胞の増殖を促すことにより、新生血管に富む良性肉芽の形成を促進させる

・表皮の形成促進による潰瘍面積の縮小
・肉芽形成促進作用
・血管新生作用

禁忌について

「投与部位に悪性腫瘍のある患者又はその既往歴のある患者」

※細胞の増殖を促す製剤なので、スプレーする場所に潰瘍があると症状が悪化する可能性があるため。
※投与部位以外に悪性腫瘍がある場合は、使ってOK

併用禁忌のもの(実質)

添付文書に記載はないが、薬理作用的に併用すべきでないものがある。
褥瘡などに使われる「ブロメライン軟膏」は併用を避けること。
ブロメライン軟膏は、タンパク質を分解する作用があるのでフィブラストスプレーの効果を下げる可能性が高い。
(科研製薬へ問い合わせ済)

ガイドライン上の位置付け

【褥瘡予防・管理ガイドライン(2015)】

〇保存的治療 外用剤
CQ1.13:肉芽形成が不十分で肉芽形成を促進させる場合→B
CQ1.14:肉芽十分が十分に形成され創の縮小をはかる場合→B
CQ1.16:ポケットを有する場合→C1

【熱傷診療ガイドライン(2015)】

〇Ⅳ.初期局所療法
2.Ⅱ度熱傷(SDB・DDB)→A

【創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン/褥瘡診療ガイドライン(2017)】

〇創辺縁の管理(ポケットの解消・除去)
CQ26:ポケットがある時はどうのような局所治療を行えばよいのか?→1C

〇後半の治療:moist wound healingを目指す
CQ29:赤色期~白色期褥瘡の局所処置にはどのような外用薬を用いれば良いか?→1A

【創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン/熱傷診療ガイドライン(2017)】

〇局所治療・外用薬
CQ24:Ⅱ度熱傷の治療にはどのような外用薬を用いればよいか?→1A

参考資料
フィブラストスプレー、添付文書、インタビューフォーム
褥瘡予防・管理ガイドライン(2015)、日本褥瘡学会
熱傷診療ガイドライン(2015)、日本熱傷学会
創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(2017)、日本皮膚科学会