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精神科

ベルソムラとデエビゴの違い について~スボレキサントとレンボレキサント~

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ベルソムラとデエビゴの違い について簡単にまとめる。
臨床上は、デエビゴの方が使えるかもしれない。今後ジェネリックなどが発売された場合は色々変わってくるだろうが一応整理する。
どちらもオレキシン受容体に作用するので依存性がほとんどないため注目されている

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ベルソムラとデエビゴの違い

効能・効果

【スボレキサント(ベルソムラ)】
「不眠症」
「二次性不眠症に対する本剤の有効性及び安全性は確立されていない」

【レンボレキサント(デエビゴ)】
「不眠症」

※ベルソムラは二次性の不眠症には使いにくい。例えば、うつ病から生じている不眠とか・・・
デエビゴは、縛りなく二次性の不眠にも問題なく使うことが出来る。

用法・用量

【スボレキサント(ベルソムラ)】
「通常、成人にはスボレキサントとして1日1回20mgを、高齢者には1日1回15mgを就寝直前に経口投与する」

【レンボレキサント(デエビゴ)】
「通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5㎎を就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10㎎を超えないこととする」

※注目すべきは、ベルソムラの方は、高齢者の場合15mgで、成人の場合20mgだということ。
適宜増減の記載はない。
デエビゴの方は、5mgを基本に最大量が10mgである。高齢者などの縛りなく成人と設定されている。

※高齢者にベルソムラが20mg処方された場合、疑義照会が必要である。

禁忌事項

【スボレキサント(ベルソムラ)】
「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」
「CYP3Aを強く阻害する薬剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル、ネルフィナビル、ボリコナゾール)を投与中の患者」

【レンボレキサント(デエビゴ)】
「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」
「重度の肝機能障害のある患者」

※ベルソムラの禁忌で最大の欠点は、クラリスロマイシンとの併用が出来ないことだ。臨床上抗生剤として、クラリスロマイシンを使いたいケースは多い。禁忌なので処方監査の際は十分注意する必要がある。
デエビゴには、CYP3A を強く阻害する薬剤の禁忌がない。ただし、併用する場合は、2.5mgを服用する。
添付文書の記載は下記を参照

※デエビゴ
「CYP3Aを阻害する薬剤との併用により、レンボレキサントの血漿中濃度が上昇し、傾眠等の副作用が増強されるおそれがある。CYP3Aを中程度又は強力に阻害する薬剤(フルコナゾール、エリスロマイシン、ベラパミル、イトラコナゾール、クラリスロマイシン等)との併用は、患者の状態を慎重に観察した上で、本剤投与の可否を判断すること。なお、併用する場合は1日1回2.5㎎とすること」

※ベルソムラ
「CYP3Aを阻害する薬剤(ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾール等)との併用により、スボレキサントの血
漿中濃度が上昇し、傾眠、疲労、入眠時麻痺、睡眠時随伴症、夢遊症等の副作用が増強されるおそれがあるため、
これらの薬剤を併用する場合は 1 日 1 回10mgへの減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察すること」

※ベラパミルは、どちらも低用量の服用が必要である

オレキシン受容体への作用

オレキシン受容体には1と2の2つのタイプが知られている。比較的オレキシン受容体2の方が睡眠に関与していることが分かっている。ベルソムラもデエビゴもどちらもオレキシン受容体の1と2両方を阻害する。
ただし、デエビゴの方がオレキシン受容体2の阻害作用が強い。
そのため、デエビゴの方が睡眠に対する作用が強いと考えられている。

調剤上の違い

【スボレキサント(ベルソムラ)】
一包化、粉砕は、不可。基本的にPTPシートのまま
※光や湿度の影響を受けやすい

【レンボレキサント(デエビゴ)】
一包化、粉砕は可能。

その他

食事の影響はどちらも受ける。空腹時に服用する必要があるため
夕食を摂ってから2時間以上空けて服用する必要がある。高齢者施設や寝る時間が早い高齢者は注意すること。

※筋弛緩作用や依存性がない薬剤だが、食事の影響があることが弱点ともいえる。気を付けること

参考資料
デエビゴ®添付文書、インタビューフォーム
ベルソムラ®添付文書、インタビューフォーム
エーザイ勉強会