メラトベル (メラトニン)顆粒小児用について簡単に整理する。
「日本で初めて、内因性ホルモンと同一の化学構造式を持つメラトニンを有効成分とした入眠改善剤」とのこと
海外では、サプリメントとしても販売されている。医薬品として日本では、顆粒の剤形しかない。
2021年6月より投薬期間の制限が解除となっている。
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メラトベル (メラトニン)顆粒小児用について
効能・効果
「小児期の神経発達症に伴う入眠困難」
※6歳~15歳までの小児期に
※一般的な睡眠薬としては処方することが出来ない
神経発達症とは?
・自閉症スペクトラム症
・ADHD(注意欠如・多動症)
・LD(学習障害)・限局性学習症
・知的能力障害
・コミュニケーション症群
・運動症群
・他の神経発達症群
※上記は、併発することも多い
用法・用量
「通常、小児にはメラトニンとして1日1回1mgを就寝前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回4mgを超えないこと。」
※食後の服用でCmaxが下がるので効果が落ちてしまう。注意すること
※増量する場合は、1週間以上間を空けること
薬理作用・作用機序
メラトニンはセロトニンから作られる物質である。
主として脳の松果体という部分から分泌されるホルモンである。
メラトベル
↓
メラトベルは、メラトニンM1受容体、M2受容体を活性化する
↓
視交叉上核の神経活動を調節
↓
睡眠を促す
※抗けいれん作用もある
※メラトニンは、日中に自然な太陽光を浴びることで、夕方以降に分泌量が促進されるホルモンである
※効果は、ラメルテオン(ロゼレム®)より弱い。その分、安全性は高い。
M1受容体及びM2どちらもラメルテオンの方が強く作用する。
禁忌
「フルボミサミン」との併用は禁忌である。
フルボキサミンが、代謝酵素であるCYP1A2とCYP2C19を阻害するため禁忌となっている。
対象となる小児
投与対象となる睡眠障害の分類は、DSM-5における「不眠障害の入眠困難」及び「概日リズム睡眠‒覚醒障害群の睡眠相後退型」、又はICSD-3における「不眠症の慢性不眠障害における入眠困難」及び「概日リズム睡眠・覚醒障害群の睡眠・覚醒相後退障害」とされている
※神経発達症の小児では、通常の小児と比べて睡眠障害の有病率が高い。
神経発達症群の分類の中でも自閉スペクトラム症では 50~80%、
注意欠如・多動症では 25~50%の割合で睡眠障害が併存するという報告がある。
副作用
眠気(傾眠)、頭痛が比較的多い。
【頭痛が起こる理由】
M1受容体への作用が血管収縮に、M2への作用が血管拡張に関わっていると報告されている。
体の中でM2受容体への刺激が強く出た場合、症状として「頭痛」が出てくると考えられている
その他の特徴
・2021年現在成人へ処方することは出来ない
・依存性が低い
・顆粒の剤形のみ
・3か月服用して効果がない場合は中止すること
参考資料
Mohammadi F, et al. : Anticonvulsant effect of melatonin through ATP-sensitive channels in mice. Fundam Clin Pharmacol, 34 : 148-155, 2020.
メラトベル顆粒小児用、添付文書、インタビューフォーム
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