①小児と漢方の量について
「~児」という言葉は細かく分かれている
最初にその区分について思い出して欲しい。
小児患者の年齢区分
「医療用医薬品添付文書」作成(日本製薬工業協会)の手引きより引用すると
・低出生体重児→出生体重が2500g未満
・新生児→出生後4週間未満
・乳児→1歳未満
・幼児→7歳未満(就学前のイメージ)
・小児→15歳未満
ちなみに生まれて半年で離乳食となり、1歳くらいまでで離乳となる。
漢方の量
一般用漢方処方の手引き(厚生省薬務局監修)によると、細かく設定されている。
一番少ない量は「4分の1」である。
そこから少しずつ成人量に近づけていくイメージ。
一応中学生までは成人量ではない・・・
体重などにもよるとは思うが頭に入れておくと良い。
・2歳未満の場合→成人用量の4分の1
・2歳以上4歳未満の場合→成人用量の3分の1
・4歳以上7歳未満の場合→成人用量の2分の1
・7歳以上15歳未満の場合→成人用量の3分の2
例えば、ツムラの製品は、基本1包2.5gか3gであり、
分包品を再分包する際は、湿気に注意する必要がある。
そのため、次のような工夫をすると良い。
・湿気に強い密閉容器に入れる
・乾燥剤を使う
・冷蔵庫に入れる
②漢方薬の飲ませ方の工夫
1歳未満の場合の工夫
・お湯に溶かしてスプーンで飲ませる
・少量のお湯や水で練って、頬や上あごの内側に塗る。
・スポイトで流し込む
・服薬補助ゼリー(お薬飲めたね)やシロップを使う
・回数を分けて飲ませる
1歳以上15歳未満の場合の工夫
・服薬ゼリーやオブラートを使う
・ジュースやゼリー、ヨーグルト、チョコレートアイス等に混ぜる
※チョコレートアイスは結構味をマスク出来る。
※ヨーグルトのような酸味の強いものはおススメ。
③授乳時の注意
母乳に漢方成分が移行することもあるので注意する。
特に「大黄」や「麻黄」には注意する必要がある。
ただし、妊娠と授乳、薬物治療コンサルテーション改訂2版には
「通常の用法用量での使用は問題ない」と記載されている。
大黄に含まれるアントラキノン誘導体
哺乳児の「下痢」を誘発する
便秘に用いられる漢方に多く含まれる。
大黄甘草湯(4g/1日)、麻子仁丸(4g/日)などは注意が必要である。
麻黄に含まれるエフェドリン
哺乳児に「興奮」や「ほてり」を誘発する。
麻黄が含まれる漢方薬は意外と多いので知っておくと良い。
麻黄湯(5g/日)、葛根湯(3g/日)、小青竜湯(3g/日)など
参考資料
ツムラ大黄甘草湯、添付文書
ツムラ麻子仁丸、添付文書
ツムラ麻黄湯、添付文書
ツムラ葛根湯、添付文書
ツムラ小青竜湯、添付文書
一般用漢方処方の手引き(厚生省薬務局監修)
医療用医薬品添付文書(日本製薬工業協会)
妊娠と授乳、薬物治療コンサルテーション改訂2版
小児の漢方薬・服用について