ピルフェニドンとニンテダニブの違いと特徴 について簡単に整理する。
ピルフェニドン(ピレスパ®)、ニンテダニブ(オフェブ®)
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チロシンキナーゼ阻害薬の違い
ピルフェニドンとニンテダニブの違いと特徴
①薬理作用
・ポイント
どちらも治療薬ではない。「肺活量の低下」を抑制するのが目的
【ピルフェニドン (ピレスパ®)】
特発性肺線維症に対して世界で初めて承認を得た抗線維化剤
「抗炎症作用」と「線維化抑制作用」
炎症性サイトカインTNF-α、インターロイキン1や6などを抑制
線維化に関わるTGF-β増殖因子を抑制
【ニンテダニブ(オフェブ®)】
チロシンキナーゼ阻害薬
炎症性サイトカインを抑制する作用はない
②効果・用法
劇的な差はないがオフェブ®カプセルの方が「急性増悪」の抑制効果はある。
【ピルフェニドン(ピレスパ®)】
1日3回食後に服用する。
「空腹時」に服用すると「食後」服用に比べて血中濃度の上昇があり
消化器症状の副作用リスク軽減のため食後の服用する。
参考:空腹時と食後のCmax・Tmax・AUCについて
【400mg内服時のデータ】
【Cmax】
食後:4.88 ± 1.72(μg/mL)
空腹時:9.24 ± 1.74(μg/mL)
【Tmax】
食後:1.83 ± 0.75(hr)
空腹時:0.58 ± 0.20(hr)
【AUC】
食後:22.13 ± 10.63(μg・hr/mL)
空腹時:29.10 ± 11.77(μg・hr/mL)
【ニンテダニブ(オフェブ®)】
1日2回朝・夕食後に服用する
参考:食事の影響
「健康成人にニンテダニブ150 mgを食後に単回経口投与したとき,空腹時投与に比べてtmaxの中央値は約2時間延長し,AUC0-∞は約21%,Cmaxは約15%上昇した。」
→「食後」の方が効果が見込めるため「食後」に服用する。
③副作用
【ピルフェニドン(ピレスパ®)】
・空腹時服用・女性の場合
↓
消化器症状(食欲不振・胃不快感)(20~30%)
・光線過敏症に注意。約半数
↓
外出時には長袖の衣服、
帽子等の着用や日傘、
日焼け止め効果の高いサンスクリーン(SPF50+,PA+++)
を使用するなどの防護策は大切
・眠気(約15%)
・検査値の所見ではγ-GTPやALTの上昇などに注意する
【ニンテダニブ(オフェブ®)】
・下痢が多い(約半数)
・悪心(約20%)
・肝機能障害(ALT・AST上昇)(約20~30%)
※基準値の3倍を超えた場合は減量などを考える
↓
当局に外来で来られていた患者は、肝機能数値が上がった際にウルソ®の服用で下がった。
※ピルフェニドンと違い「光線過敏症」はない
④相互作用について
【ピルフェニドン(ピレスパ®)】
CYP1A2に関与している薬剤など注意
・フルボキサミン(CYP1A2阻害)→AUCが4倍に上昇する
・タバコ(CYP1A2誘導)→AUCが50%ほど低下する
【ニンテダニブ(オフェブ®)】
P-糖蛋白に関与している薬剤などに注意
・エリスロシン・シクロスポリン等(P-糖蛋白阻害)→AUC、Cmax上昇
・リファンピシン・カルバマゼピン・フェニトイン等(P-糖蛋白誘導)
→リファンピシンとの併用でオフェブ®のAUCが約50%、Cmaxが約60%減少
参考資料
各製剤 添付文書・インタビューフォーム