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皮膚科 高齢者

ドライスキンと スキンテア について

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スキンテア の話をドライスキンと交えながら簡単にまとめる。医療現場では大切な話なので知っておくと良い。
高齢者だけでなく、炊事を行う人や小さい子供などにも起こる。
また、アルコール消毒による皮膚の荒れも問題となっている

①ドライスキン

ドライスキン(乾燥肌)は、皮膚の角層と呼ばれる部分の水分量が低下して、肌が乾燥した状態のことである。
ドライスキンは、皮膚の水分減少によって起こり、さらに・・・
加齢により、真皮のコラーゲンやエラスチンも減ってしまう。
つまり、「表皮の柔軟性の低下」や「水分量の低下」が原因である。

症状として、ドライスキンは、かゆみ、手荒れ、肌荒れが増す。
また、皮膚に傷が入ることにより、細菌、真菌、ウイルスなどが侵入しやすくなる。

※バリア機能的な観点から見ると、
バリア機能である「1次バリア」と「2次バリア」両方の機能が低下している。
1次バリア→水分の蒸散を抑えて、外的刺激から保護する皮脂膜
2次バリア→皮膚内の水分を保持して潤いを保つ角質層

②スキンテア

スキンテア(skin-tear)とは、皮膚裂傷のことである。
定義は、「摩擦・ずれによって、皮膚が裂けて生じる真皮深層までの損傷(部分層損傷)」である。

※褥瘡やIADなどとは区別される
IADについての記事は下記にまとめている
失禁関連皮膚炎(IAD)について

スキンテアの例

・ベッドの柵や車いすのフレームなどで皮膚が裂ける
・絆創膏を剥がすときに皮膚が裂ける
・体位変換時に皮膚が裂けてしまう
・転倒時、ベッドからの転落時に皮膚が裂ける

※褥瘡は、持続的な圧迫やズレで生じる。「持続的」というのがポイント
※IAD:Incontinence Associated Dermatitisは、尿や便が原因の皮膚炎

③スキンケア

IADの記事でも述べたが、洗浄、保湿などが重要になってくる。
ケア自体は、IADの時と似ている。
高齢者は、皮膚が弱っているのでイメージは同じである。

洗浄

最大のポイントは、「擦らない」である。

・1日1回は洗浄剤(低刺激性・弱酸性のもの)できれいにする。回数が多いと洗剤での刺激が多くなるのでやめること。
・擦らずに泡をのせるイメージできれいにする。
・温度にも注意する。熱いお湯はNG。だいたい38℃から40℃程度を目安に

※皮脂を取り除くほどの強い洗浄剤はおススメ出来ない。
例えば、石鹸などのアルカリ性の洗浄剤は皮脂を奪い取る。

※強く擦らないこと。ゴシゴシは厳禁
※刺激の強いスポンジやナイロンタオルはダメ
※基本的に皮膚のバリア機能が低下しているので優しく扱うこと

保湿

保湿でもポイントとしては、「擦らない」ことが大切である。
手に伸ばして、保湿剤を手に載せるイメージで行う。

保湿剤は1日1回を目安に行う。入浴後あるいは洗浄後が効果的である。

その他

・加湿器を使って乾燥しないようにする。
・日焼け止めを塗る(日焼けは皮膚を傷める)
・入浴や手洗いの後に保湿剤でケアする

スキンテアに対して・・・

・四肢が何かにぶつからないように注意する
・介護者などは、手を握らず軽く持ち上げるイメージで取り扱う
・テープ剤の使用回数を減らせるなら減らす。

参考資料
一般社団法人 日本創傷・オストミー・失禁管理団体
IAD-SETに基づくIADの予防と管理、IADベストプラクティス